熊本県内にお住まいのご家族が亡くなられた後、金地金や指輪などの貴金属が見つかると、購入時の金額や手元の見積額をそのまま相続税の計算に使ってよいのか迷うことがあります。まずは品物を混同せず、何があり、それぞれについてどのような価格の情報を確認できるかを分けて考えることが大切です。
一般動産の評価では、原則として1個または1組ごとに価額を捉え、売買実例価額や精通者意見価格などを参酌します。ただし、金地金を含むすべての品物を同じ規定だけで評価できると決めつけることはできません。現物と価格判断の材料を確認し、評価方法を見極めてから、相続税の計算へ進む際の考え方を整理します。
SECTION 01
見つかった金地金と貴金属を、まずどう区別する?
ご家族が亡くなられた後に金地金や貴金属が見つかると、まとめて一つの金額にできるのか迷うかもしれません。まずは、見つかった現物を品物ごとに区別してください。「金」「貴金属」と呼ばれていても、その名称だけでは、すべてに同じ評価方法を当てはめられるとは決まりません。
例えば、保管されていたものについて、現物を見て区別できた品物と、包装や記録から存在を知っただけの品物は分けておくと、何を確認できていないかが見えます。ひとまとまりに保管されていたという事情だけで、一つの品物として扱うことも避けます。品物の分類や適用する評価規定は、現物を確かめる前に決めず、それぞれについて確認を進める必要があります。
SECTION 02
品物ごとに、何が確認済みで何が不明か?
品物を区別できたら、それぞれの現物について、見て確かめたことと、まだ分からないことを分けます。例えば数量は数えた結果なのか、保管時の記録だけを見たものなのかを区別できます。品質や状態も、確認できた範囲を超えて推測で補わないことが大切です。
品物ごとに確認の状況を整理する際は、次の違いを残しておくと、後から確かめる対象が明確になります。
- 数量について、現物で確認できた範囲と、まだ確認していない範囲
- 品質について、現物から読み取れた情報と、確かめる必要がある情報
- 状態について、実際に見た様子と、保管記録などから推測しているだけの内容
記録と現物の内容が一致するか分からないときは、どちらかを確定した情報として選ぶのではなく、確認待ちとして残します。熊本県内で相続の準備を進めるご家族も、品物ごとの差を把握してから評価方法を検討すれば、「貴金属がある」という情報だけで価額を決めてしまうことを避けられます。
SECTION 03
その貴金属は一般動産の評価規定で扱えるか?
現物を整理した次の段階では、その品物に一般動産の評価規定を適用できるかを考えます。国税庁ホームページの「第1節 一般動産」には、動産のうち別の評価規定によるものを除いた一般動産について、評価する単位が定められています。したがって、金地金を含む見つかった品物すべてを、名称や保管場所だけで一般動産と決めることはできません。
確認したいのは、その品物が一般動産として扱う対象なのか、それとも除かれる対象なのかという点です。現物について分かっている情報を品物ごとに見直し、適用する規定を判断できないものは確認待ちにします。ここでの区別は相続税の計算に用いる評価規定の話であり、誰がその品物を取得するかを決めるものではありません。
参照先(一般動産に該当する品物を何個・何組単位で評価するか確かめる。):国税庁ホームページの「第1節 一般動産」
SECTION 04
一般動産は1個ずつ、それとも1組で評価する?
一般動産に該当する品物の価額は、原則として1個または1組ごとに評価します。現物が複数見つかった場合でも、すべてを一つのまとまりとして扱うのではなく、個々の品物なのか、組として捉える品物なのかを確認する順序です。この原則は一般動産に該当する場合のもので、別の評価規定の対象となる品物にそのまま広げることはできません。
例えば複数の品物が同じ場所に入っていたとしても、保管場所が同じことと、評価上1組に当たることは別の問いです。現物を見て品物同士のまとまりを確認し、まだ判断できなければ、個数と組として扱えるかを別々に記録しておきます。先に合計額を決めるよりも、何を一つの評価単位として考えるかを明らかにすることが重要です。
参照先(一般動産に該当する品物を何個・何組単位で評価するか確かめる。):国税庁ホームページの「第1節 一般動産」
SECTION 05
少額なら貴金属をまとめて評価できる?
少額だからといって、見つかった貴金属をすべてまとめて評価できるわけではありません。国税庁ホームページの「第1節 一般動産」では、家庭用動産、農耕用動産、旅館用動産等で、1個または1組の価額が5万円以下のものについて、それぞれ一括して一世帯、一農家、一旅館等ごとに評価できると定めています。品物の種類と、1個または1組の価額の両方が判断材料になります。
そのため、「貴金属だからまとめる」「全体では少額だからまとめる」という判断はできません。まず対象の品物が家庭用動産等に該当するかを確かめ、そのうえで1個または1組ごとの価額が5万円以下かを確認します。どちらかが分からなければ、一括評価できるものとして先に合算せず、確認待ちとして分けておきます。
参照先(少額の家庭用動産等に認められる一括評価の条件を確かめる。):国税庁ホームページの「第1節 一般動産」
SECTION 06
一般動産の価格は何を手掛かりに判断する?
一般動産に該当する品物について評価する単位を確認したら、その価額を判断する手掛かりを探します。国税庁ホームページの「第1節 一般動産」では、一般動産の価額は原則として売買実例価額や精通者意見価格等を参酌して評価すると定めています。品物ごとに、そうした価格を確認できるかを見ていく段階です。
売買実例価額を確認できたのか、品物に詳しい人の意見に基づく価格があるのか、それとも価格の手掛かりがまだ見つかっていないのかを分けてください。単一の見積額を見つけただけで、その品物に一般動産の規定が適用されると決めたり、他の品物にも同じ価額を当てはめたりはできません。現物について確認できた内容と価格の手掛かりを対応させて考えます。
参照先(一般動産の価額を判断する際に参酌する価格を確かめる。):国税庁ホームページの「第1節 一般動産」
SECTION 07
売買実例などが分からない一般動産はどう評価する?
売買実例価額や精通者意見価格等を調べても明らかでない場合、一般動産に該当する品物には別の評価方法が定められています。同種・同規格の新品について、課税時期における小売価額を確認し、そこから規定に従う償却費の額の合計額または減価の額を控除して評価します。
新品の価格と控除する額は分けて確認する
手元の品物と似た新品が見つかっても、種類や規格が同じか、確認した価格が課税時期の小売価額かを確かめる必要があります。控除する額も、見た目の古さから任意の割合を決めるものではありません。品物の製造時から課税時期までの期間と、規定に沿った償却費または減価の額を分けて確認します。
参照先(参酌できる価格が明らかでない一般動産の評価方法を確かめる。):国税庁ホームページの「第1節 一般動産」
SECTION 08
見積額が複数あるとき、何を確認しておく?
一般動産に該当する品物について複数の価格が分かった場合、まず、それぞれがどの品物についての売買実例価額や精通者意見価格等なのかを区別します。同じ貴金属というだけで別の品物の価格をまとめたり、一つの見積額をそのまま評価額と決めたりせず、品物との対応関係を確かめることが大切です。
金額だけでなく、価格が示す品物を確かめる
例えば、手元に複数の品物があり、価格を示す資料も複数あるなら、どの資料がどの品物を対象にしているかを分けておきます。売買実例価額や精通者意見価格等を参酌する際に、その価格が手元の品物を判断する材料になるかを確認できるためです。特定の見積額を常に優先するという順序は設けず、確認できていない価格の事情は確定したものとして扱わないようにします。
参照先(一般動産の価額を判断する際に参酌する価格を確かめる。):国税庁ホームページの「第1節 一般動産」
SECTION 09
評価した価額は相続税の計算でどこに入る?
品物の価額を確認することと、相続税の計算で誰の課税価格に反映するかを決めることは別の段階です。相続税の一般的な計算では、まず相続や遺贈などで財産を取得した人ごとに課税価格を計算します。品物だけの評価額から、そのまま各人の税額が出るわけではありません。
取得した人が決まっていない品物は推測で割り振らない
例えば、見つかった貴金属の価額を確認できても、誰がその品物を取得するかがまだ決まっていなければ、特定の人の課税価格に入ると決め付けられません。価額の確認状況と取得する人の確認状況を分けておけば、取得関係が明らかになった後に、その人ごとの課税価格を計算する際の材料として扱えます。
参照先(評価した価額を相続税の計算へ反映する際の最初の順序を確かめる。):国税庁ホームページの「No.4152 相続税の計算」
SECTION 10
金地金の評価額に相続税の税率を直接掛ける?
金地金などの評価額に相続税の税率を直接掛けて、その品物についての税額を出すわけではありません。相続税の一般的な計算では、財産を取得した人ごとの課税価格を計算したうえで、相続税の総額を求める段階へ進みます。評価額と、税率を適用する金額を混同しないことが重要です。
税率を適用するのは法定相続分に応ずる取得金額
相続税の総額を計算する際は、正味の遺産額から基礎控除額を差し引いた課税遺産総額を、法定相続分によりあん分します。こうして求めた法定相続分に応ずる取得金額に、相続税の税率を適用します。実際に取得した個々の品物の価額に税率を掛ける計算とは、対象となる金額が異なります。
例えば、ある品物の価額だけが分かっても、それを基に適用税率や相続税の総額を決めることはできません。品物の価額は取得した人ごとの課税価格を考えるための材料となり、税率の適用は相続税の総額を求める段階で考えます。
参照先(評価した価額を相続税の計算へ反映する際の最初の順序を確かめる。):国税庁ホームページの「No.4152 相続税の計算」
参照先(品物の評価額に税率を直接掛けないことを確かめる。/相続税の税率をどの金額に適用するか確かめる。):国税庁ホームページの「No.4155 相続税の税率」
SECTION 11
相続税の総額は取得した人ごとにどう反映される?
相続税の総額が求まった後は、その総額を財産を取得した各人の課税価格に応じて割り振り、各人ごとの税額を計算します。割り振りの基準は、金地金や貴金属を持っているかどうかだけではなく、各人の課税価格です。そのため、一つの品物の価額が分かっても、その人に割り振られる税額までは決まりません。
割り振った税額と納付税額は同じとは限らない
各人ごとの税額を計算した後には、納付税額を求める段階があります。割り振った額をそのまま最終的な納付税額と考えず、取得した人ごとの課税価格を確認してから順に計算する必要があります。品物の価額だけを取り出して、家族の誰にいくらの納付が生じるかを判断しないようにします。
参照先(相続税の総額を各人の税額へ割り振る順序を確かめる。):国税庁ホームページの「No.4152 相続税の計算」
SECTION 12
熊本県内で金地金・貴金属の評価を相談するには?
熊本県内でご家族の相続に伴い金地金や貴金属が見つかった場合は、分かっている品物と価格に関する情報を整理したうえで、宮伸一税理士事務所に相談できます。同事務所は熊本県内を対象地域として相続税申告や生前の相続税試算を取り扱っていますが、個別の品物の評価結果や案件の受任が決まっているわけではありません。
分かっていることと、これから確かめたいことを伝える
相談の際は、見つかった品物について確認できた内容、価格が分かる資料の有無、誰が取得するかについて分かっていることを伝えると、何から確認するかを事務所と整理しやすくなります。分からない点は推測で補わず、確認待ちの事項として伝えてください。評価方法の確認と相続税申告に向けた確認事項を分けて相談できます。
ご連絡の際は、宮伸一税理士事務所の問い合わせページからお願いします。手元の情報を伝えたうえで、確認できる範囲や今後の進め方をお確かめください。
FAQ
よくある質問
貴金属の指輪が複数あります。必ず1点ずつ評価しますか?
いいえ、必ず1点ずつとは限りません。一般動産に該当する場合は原則として1個または1組ごとに評価するため、それぞれが独立した品物か、組として扱うものかを現物に照らして確認してください。
家庭にあった貴金属は、少額なら全部まとめて評価できますか?
いいえ、少額というだけで全部をまとめられるわけではありません。一般動産の規定では、家庭用動産等で1個または1組の価額が5万円以下のものについて一括評価が認められるため、品物の種類とそれぞれの価額を確認してください。
金地金の評価額が分かれば、その金額に税率を掛けて相続税額を出せますか?
いいえ、相続税額は、実際に取得した品物の価額に直接税率を掛けて算出するものではありません。評価額を踏まえた課税価格の計算と、課税遺産総額を法定相続分であん分した取得金額への税率適用を区別し、誰が品物を取得するかも確認してください。
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宮伸一税理士事務所