熊本県内でご家族が亡くなり、自筆証書遺言が見つかったときは、まず法務局に保管されている遺言書かどうかを確かめたいところです。法務局保管分に関して交付される遺言書情報証明書は、家庭裁判所の検認を必要としません。一方、検認の対象となる遺言書については、保管者や発見した相続人が家庭裁判所に提出して手続を進めます。
検認を申し立てる場合、裁判所は遺言者の出生から死亡までの戸籍等や、相続人全員の戸籍謄本を共通の添付書類として案内しています。申立前に入手できない戸籍等は、申立後の追加提出も認められています。書類がそろわないまま結論を急がず、申立先と不足しているものを確認しましょう。検認は遺言の有効・無効を決める手続ではなく、相続税申告の検討とも分けて考える必要があります。
SECTION 01
見つかった自筆証書遺言は、まず何を確認する?
熊本県内でご家族が亡くなられた後、自筆証書遺言を見つけたら、まず法務局の遺言書保管制度で保管されたものかどうかを確認する必要があります。法務局保管分であれば、相続開始後に家庭裁判所での検認は不要です。一方、手元で見つけた遺言書について、保管状況が分からないまま検認不要と決めつけることはできません。
保管状況が分からないときは
検認の対象となる遺言書では、保管者または発見した相続人が、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出して検認を請求します。法務局保管分の遺言書情報証明書には検認が不要という扱いがあるため、見つけた書面がどのように保管されていたものかを区別することが、次の確認先を選ぶ出発点です。
参照先(遺言書を見つけた人が家庭裁判所での手続を要するか確かめる。):裁判所ホームページの「遺言書の検認」
参照先(法務局保管分について検認が必要か確かめる。):法務省ホームページの「01 遺言書保管制度とは?」
SECTION 02
法務局に保管されている遺言書は、どこで内容を見られる?
法務局の遺言書保管制度で保管されている遺言書については、相続開始後、相続人等が法務局で内容を確認できます。確認方法には、データによる遺言書の閲覧と、遺言書情報証明書の交付があります。原本を直接見たい場合とは場所が異なるため、何を確認したいのかを先に分けて考えると分かりやすくなります。
データによる確認と原本の閲覧は場所が違う
データによる閲覧と遺言書情報証明書の交付は、原本を保管する遺言書保管所に限らず、全国の法務局で受けられます。これに対して、遺言書の原本を閲覧できるのは、その原本を保管している遺言書保管所だけです。近くの法務局でデータを確認できることと、そこで原本も見られることを同じものとして考えないようにしましょう。
参照先(法務局保管分の内容を相続開始後に確認する方法を確かめる。):法務省ホームページの「01 遺言書保管制度とは?」
SECTION 03
法務局保管分なら、遺言の有効性も確定する?
いいえ。法務局保管分の自筆証書遺言は、相続開始後の家庭裁判所での検認が不要ですが、それだけで遺言の有効性が確定するわけではありません。法務局の遺言書保管制度は、保管された遺言書の有効性を保証するものではないため、「検認を受けなくてよい」と「遺言の効力が認められる」は分けて考える必要があります。
保管の確認と効力の判断を分ける
法務局に保管されていたことが分かった場合、まず確認できるのは保管の扱いです。遺言の内容に疑問がある場合も、保管されているという事実だけから有効・無効を結論づけないでください。また、法務局に保管されていない遺言書にまで検認不要という扱いを広げることはできません。手元で見つかったものについては、家庭裁判所の手続を別に確認します。
参照先(法務局保管分について検認が必要か確かめる。/法務局で保管されていることと遺言の効力を区別する。):法務省ホームページの「01 遺言書保管制度とは?」
SECTION 04
家庭裁判所への検認を請求するのは誰?
検認の対象となる遺言書について、家庭裁判所に検認を請求するのは、遺言書の保管者、または遺言書を発見した相続人です。遺言者の死亡を知った後は、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して請求します。見つけた人が誰かだけでなく、その人が保管者なのか、発見した相続人なのかを確認することが大切です。
ただし、この扱いは検認の対象となる遺言書についてのものです。公正証書遺言や、法務局に保管されている自筆証書遺言に関して交付される遺言書情報証明書には、検認は必要ありません。手元の書面の保管状況が分からないときは、誰が申立てをするかを考える前に、その書面が検認の対象かどうかを切り分けてください。
参照先(遺言書を見つけた人が家庭裁判所での手続を要するか確かめる。):裁判所ホームページの「遺言書の検認」
SECTION 05
熊本で検認を申し立てる家庭裁判所はどう決める?
検認を申し立てる場合、申立先は遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。遺言書を見つけた人が熊本県内に住んでいても、その人の住所を基準に申立先が決まるわけではありません。まず亡くなった方の最後の住所地を確認し、それを基に申立先を調べます。
発見した場所ではなく、遺言者の最後の住所地を確認
熊本県内で遺言書が見つかった場合も、見つかった場所だけから個別の申立先家庭裁判所を断定することはできません。最後の住所地を確認できたら、裁判所ホームページの「遺言書の検認」に示される「申立書提出先一覧(家庭裁判所)」で管轄を確認してください。申立先が分かった後に、そこで求められる添付書類を確かめる順序にすると、確認する対象を混同せずに済みます。
参照先(遺言者の最後の住所地から申立先を確認する。):裁判所ホームページの「遺言書の検認」
SECTION 06
遺言者について、どの期間の戸籍等が示されている?
検認の申立てで共通して示される添付書類には、遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本があります。死亡時の戸籍だけを確認すれば足りるという範囲ではありません。どの期間のものが手元にあるかを確認すると、まだ確認できていない期間を把握できます。
戸籍等の謄本は、全部事項証明書という名称で呼ばれる場合もあります。個々の戸籍等をどの市区町村に、誰が請求できるかは事情によって異なるため、推測で決めず個別に確認してください。申立前に入手できない戸籍等がある場合は、申立後の追加提出が認められていますが、その扱いは申立先の家庭裁判所にも確かめておくとよいでしょう。
参照先(遺言者について共通して求められる戸籍等の範囲を確かめる。):裁判所ホームページの「遺言書の検認」
SECTION 07
相続人について共通して示される書類は?
検認を申し立てる際、裁判所が共通の添付書類として示しているものには、相続人全員の戸籍謄本があります。遺言者について確認する戸籍等とは別に、相続人についてもそろっているか確かめておく必要があります。
「相続人全員」を決めつけずに確認する
戸籍謄本をそろえる対象は、日頃の付き合いや住所だけで決められません。相続人の範囲については、亡くなった方の配偶者は相続人となる一方、内縁関係の方は含まれず、相続を放棄した方は初めから相続人でなかったものとされます。個々のご家族について誰が該当するかは、関係を確認せずに判断しないことが大切です。
戸籍等に代えて法定相続情報一覧図の写しを提出できる場合もあります。ただし、提出できるかどうかは申立てをする家庭裁判所に確認してください。戸籍等の謄本が「全部事項証明書」と呼ばれる場合もあるため、手元の書類の名称だけで不足と決めず、求められている書類と照らし合わせるとよいでしょう。
参照先(相続人について共通して求められる戸籍謄本を確かめる。):裁判所ホームページの「遺言書の検認」
参照先(戸籍謄本を確認する対象となる相続人の範囲を確かめる。):国税庁ホームページの「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」
SECTION 08
申立前に戸籍等を入手できないときは?
検認の申立て前に入手が不可能な戸籍等がある場合、その戸籍等は申立て後に追加提出しても差し支えありません。まだそろっていないというだけで、どの書類も後から出せると考えるのではなく、申立前に入手できないものが何かを区別して確認してください。
不足している書類を申立先に伝える
申立てを考えている方は、入手できていない戸籍等と、その時点で確認できている書類を分けておくと、申立先の家庭裁判所に状況を伝えやすくなります。申立後の追加提出でよいか、何を確認しておくべきかを申立先に確かめましょう。審理のため、さらに書類の提出を求められる場合もあります。
参照先(申立前に戸籍等がそろわない場合の提出方法を確かめる。):裁判所ホームページの「遺言書の検認」
SECTION 09
封印された遺言書を見つけた場合、どこで開封する?
封印のある遺言書を見つけた場合は、見つけた場所で開封するのではなく、家庭裁判所で相続人等の立会いの上、開封します。中身を早く確かめたい場合でも、封印のあるものについては開封する場所と立会いの扱いを先に確認する必要があります。
封印のあるものは検認期日に開封
検認期日には、申立人が遺言書を提出します。封がされた遺言書は、出席した相続人等の立会いのもとで裁判官が開封し、検認します。「相続人等の立会い」とは、発見した方が自宅で家族を集めて開封するという意味ではありません。封印の有無を確かめ、封印がある場合は家庭裁判所での開封として扱ってください。
参照先(封印された遺言書を見つけた場合の開封場所を確かめる。):裁判所ホームページの「遺言書の検認」
SECTION 10
検認期日に相続人全員がそろわないとどうなる?
検認の申立てがあると、相続人には裁判所から検認期日の通知があります。申立人以外の相続人がその日に出席するかどうかは、それぞれの判断に任されており、全員がそろわなくても検認手続は行われます。遠方に住む相続人が出席できない場合なども、全員の出席を手続実施の条件と考える必要はありません。
出席の判断と申立人の準備は別
申立人以外の相続人が欠席できることと、申立人が期日に向けて準備することは別です。申立人には遺言書のほか、担当者から指示されたものを持参することになります。通知を受けた相続人の出席予定に気を取られて、申立人が持参するものの確認を後回しにしないようにしてください。
参照先(相続人の出席状況が検認期日にどう関わるか確かめる。):裁判所ホームページの「遺言書の検認」
SECTION 11
検認が終われば、遺言の効力まで決まる?
いいえ。家庭裁判所の検認が終わっても、その遺言が有効か無効かまで決まるわけではありません。検認は、相続人に遺言の存在や内容を知らせ、検認の日における遺言書の状態や記載内容を明確にして、偽造・変造を防ぐための手続です。
確認された内容と効力の判断を分ける
検認を受けたという事実から、遺言の内容どおりに財産を扱ってよいかまで結論づけることはできません。検認が扱うのは遺言書の状態や内容の確認であって、有効・無効の判断ではないためです。ご家族の間で遺言の効力について疑問がある場合も、検認が済んだことだけを答えにせず、その疑問を別の問題として整理してください。
参照先(検認を終えた後も遺言の効力を確定したとは扱わないための確認。):裁判所ホームページの「遺言書の検認」
SECTION 12
遺言書を確認した後、相続税申告は何を確かめる?
遺言書を確認した後も、相続税申告の要否は別に確かめる必要があります。国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」は、相続財産の金額などを入力して、おおよその要否を判定するためのものです。申告書を作成するものではなく、判定結果だけで個別の申告の要否を確定することもできません。
申告の説明は亡くなった年に合う資料で確認
申告について調べる際は、国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた」で、申告の説明と申告の際に提出する主な書類の項目を確認できます。令和8年分用は令和8年4月1日現在の法令等に基づき、原則として令和8年中に亡くなった方に係る申告などを説明したものです。亡くなった年を確かめて資料を選び、掲載された書類の項目だけで個別に必要な書類を確定しないようにしてください。
相続税申告についてのご相談
宮伸一税理士事務所は、熊本県内を対象に相続税申告と生前の相続税試算を取り扱っています。遺言書を確認した状況や、相続財産について把握している内容をお知らせいただければ、相続税申告に関して何から確認するか、相談時に整理できます。検認の申立てや遺言の有効・無効の判断は、税務相談の取扱いとは分けてお考えください。ご連絡の際は、宮伸一税理士事務所の問い合わせページからお願いします。
参照先(遺言書の確認後、相続税申告の要否を概算で確かめる手段の範囲を知る。):国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」
参照先(相続税申告の説明と提出する主な書類の掲載箇所を区別して確認する。/相続税申告の説明を亡くなった年に合う資料で確認する。):国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた」
FAQ
よくある質問
検認の申立前に戸籍等が一部そろわなければ、申立てはできませんか?
いいえ。申立前に入手が不可能な戸籍等は、申立後に追加提出しても差し支えありません。不足している戸籍等を確認し、申立先の家庭裁判所に提出の進め方を確かめてください。
相続人の一人が検認期日に出席できない場合、全員の日程を合わせ直す必要がありますか?
いいえ。申立人以外の相続人の出席は各人の判断に任され、全員がそろわなくても検認手続は行われます。申立人は、遺言書など期日に持参するものを担当者の案内で確認してください。
法務局で保管されていた遺言書なら、その内容は必ず有効ですか?
いいえ。法務局での保管は遺言書の有効性を保証しません。検認が不要という扱いと効力の問題を分け、内容に疑問がある場合は法律上の判断を扱う専門家に確認してください。
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