山鹿市に所在する土地や建物を複数残してご家族が亡くなられた場合、手元にある書類だけで不動産の全体像をつかむのは難しいことがあります。物件ごとに資料がそろっているとは限らず、共有や先代名義など、書類を見て初めて確認事項が増える場合もあります。まずは、分かっている物件と、その根拠となる資料を対応させるところから始めます。
この記事は、不動産の価額や相続税申告の要否をその場で決めるものではありません。国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」に挙がる確認事項を手がかりに、物件の存在、利用・権利関係、資料の不足を分けて整理します。不動産以外の財産債務や関係者の資料も見落とさず、税理士に伝えるべき未確認事項を明確にします。
SECTION 01
複数の不動産は、まず何を一件ずつ確認する?
所在・種類・資料を物件ごとに結び付ける
山鹿市に土地や建物が複数ある相続では、ひとまとめにせず、分かっている所在と種類を一件ずつ対応させるところから始めます。同じ場所に土地と建物がある場合も、それぞれについて何が分かり、どの資料が手元にあるかを分けておくと、相談時に確認したい物件を伝えやすくなります。
例えば、国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」は、申告書作成で一般に誤りやすい事項をまとめ、不動産について未登記や共有などの確認項目も挙げています。資料準備の手がかりにはなりますが、挙げられた事項がすべてご家族の相続に当てはまるわけではありません。
家族から聞いた物件と、資料で所在や種類を確かめた物件は、確認状況を区別しておきます。所在地の一部しか分からないときや、建物があると聞いたものの資料が見つからないときも、推測で補わず確認待ちとして残してください。物件の存在を確かめる段階で、税額や相続税申告の要否まで決める必要はありません。
参照先:国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」
SECTION 02
手元の書類から所有不動産をどう照合する?
資料の役割を分けて物件と照らし合わせる
物件ごとに手元資料を集めたら、書類に記された物件が、家族から聞いている土地や建物のどれに当たるのかを照らし合わせます。国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」は、所有不動産を証明する資料の例として、固定資産税評価証明書と登記事項証明書を挙げています。
一方、宮伸一税理士事務所ホームページの「相続税申告・生前の相続税試算」では、固定資産税課税明細書と登記事項証明書を、不動産を特定する手がかりとして案内しています。課税明細書を、国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」が挙げる資料例と取り違えず、どの物件を探す手がかりにしたかを分けて伝えると、手元情報を整理しやすくなります。
書類の名称が似ていても、手元にあるものの名前をそのまま控え、対応する物件が分からなければ確認待ちにします。挙げられた資料だけで個別の必要書類が決まるわけではなく、資料がそろわない物件も相談対象から外しません。書類で確認できた物件だけで全体を確定せず、見つからない資料と確認したい物件を一緒に残しておきます。
参照先:国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」/宮伸一税理士事務所ホームページの「相続税申告・生前の相続税試算」
SECTION 03
未登記・共有・先代名義の物件をどう扱う?
未登記・共有・先代名義は別々に記録する
国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」は、未登記、共有、先代名義の不動産をそれぞれ確認項目に挙げています。資料を照らし合わせる際も、これらを単に「名義に問題がある物件」とまとめず、どの物件について何を確かめる必要があるのかを分けておきます。
未登記かもしれない建物は、建物の存在について聞いた内容と、確認できた資料を分けます。共有と聞いている物件は、共有という情報の出所と、持分について資料で確認できた範囲を区別します。先代の名義が残っていると聞いた物件も、誰から聞いたかを残し、現在の取得者を名義だけから推測しないことが大切です。
国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」が所有不動産を証明する資料の例として挙げる固定資産税評価証明書や登記事項証明書が手元にあれば、該当しそうな物件と対応させます。ただし、書類の記載だけで所有関係を法的に確定したり、相続登記をどう進めるか決めたりする話とは分け、確認待ちの事情として相談時に伝えます。
参照先:国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」
SECTION 04
山鹿市以外にも不動産がある可能性をどう残す?
山鹿市の物件だけで一覧を閉じない
山鹿市にある不動産を中心に資料を整理していても、それだけで亡くなった方に関係する物件の全体が分かったとは限りません。国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」も、他の市区町村に所在する不動産がないかを確認項目に挙げています。これは他地域の物件があるという断定ではなく、見落としを防ぐための問いかけです。
例えば、家族の会話に山鹿市以外の土地の話が出ていても、所在や物件の種類が資料で確かめられていなければ、確認済みの不動産には加えず、聞き取りによる候補として残します。話が出ていない場合も、「他の市区町村については未確認」としておけば、山鹿市の資料だけを見て全物件を把握したと思い込まずに済みます。
所在する市区町村を確認できた物件と、所在自体を確かめたい候補を分けておくと、相談時に何を追加で調べるか話しやすくなります。地域ごとの地価や不動産の保有傾向から有無を推し量る必要はありません。所在の確認が済んだ物件については、次に、土地と建物が誰にどのように利用されているかという別の確認へ進みます。
参照先:国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」
SECTION 05
土地と建物の利用関係が複雑なとき、何を探す?
建物の敷地を誰が使っているか聞き取る
建物がある土地を亡くなった方が所有していたとは限らないため、物件を特定した後は土地と建物の利用関係を別に聞き取ります。例えば、他人の土地の上に建物があると聞いているなら、どの建物とどの土地の話か、誰から聞いた話かを確かめます。所在地が近いというだけで、土地と建物を同じ利用関係にあるものとしてまとめないようにします。
国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」は、他人の土地の上に建物がある場合などの確認に関連して、賃貸借契約書を資料例に挙げています。該当しそうな契約書が手元にあるかを探し、見つかった場合は、どの土地と建物についての書類なのかを、聞き取った内容と照らし合わせます。
契約書が見つからない場合も、その物件を整理から外さず、利用関係と資料の有無を確認待ちにします。また、契約書があるという事実だけで、借地権が成立しているか、誰に帰属するか、どう評価するかは決められません。まずは確認できた利用の事情と不足する資料を分け、次に土地自体の状況を示す資料があるかを見ていきます。
参照先:国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」
SECTION 06
土地の資料と実際の状況に食い違いがありそうなら?
食い違いの内容と実測図等の有無を分ける
土地について、手元の資料から受ける印象と家族が知る実際の状況が違うと感じたら、まずどの土地の何が食い違うのかを具体的に残します。所在は分かるが土地の広がり方を確かめたい場合と、そもそも話題にしている土地を特定できていない場合では、次に確認したいことが異なります。資料で分かることと、聞き取りだけのことも分けておきます。
国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」は、土地の「縄延び」がないかを確認する資料例として、土地を実測している場合の実測図等を挙げています。縄延びの有無を確認したい土地について、実測図等が手元にあるか、その土地のものかを確認します。すべての土地に実測図が必要という意味ではなく、該当する土地の資料の有無を整理するための確認です。
図面が見つからないときは、状況を推測して埋めず、「どの土地の、どの点が未確認か」と、確認に使えそうな資料の有無を残します。図面があるときも、それだけで実際の状況との食い違いが解消したとは決めません。この段階で測量や評価の要否を判断するのではなく、土地ごとの疑問を相談時に伝えられる状態にしておきます。
参照先:国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」
SECTION 07
事業や農業に使った物件には別の資料がある?
利用の実態から探す資料を選ぶ
土地の状況を示す資料を確認したら、その物件を亡くなった方がどのように使っていたかも、物件ごとに振り返ります。不動産を所有していたというだけで、事業用・農業用の財産とは決められません。利用の実態が分からない物件は、用途を推測せず、何を確認する必要があるかを残しておきます。
事業や農業との関係がある物件なら、例えば国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」は、事業用・農業用財産の確認資料として、資産・負債の残高表や所得税青色申告決算書・収支内訳書を挙げています。該当する書類が手元にあるか、物件の利用状況と併せて確かめる手がかりになります。
書類が見当たらなくても、その物件を確認対象から外すのではなく、分かっている利用状況と不足している資料を分けて伝えられるようにします。複数の土地や建物がある場合も、一つの物件に関する書類を別の物件の根拠にせず、それぞれについて確かめます。次に、物件の利用資料とは目的が異なる相続関係の資料を確認します。
参照先:国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」
SECTION 08
遺言書と戸籍謄本は不動産資料とどう分ける?
記載された物件と実在する物件は別に確認
物件の利用状況を確認する資料とは別に、遺言書があるかを確かめます。例えば国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」も、遺言書の有無を確認項目に挙げています。ただし、遺言書を見つけただけでは、そこに記載された物件が現在も存在するか、記載されていない財産債務がないかは確定しません。
遺言書に書かれた不動産も、一件ずつ存在と状況を確認し、記載外の財産債務についても別に項目を整理します。遺言書の有効性や、誰が法的に相続人となるかを、この資料だけで判断することも避けます。手元にある遺言書と、物件について確認できた事実を分けておくと、相談時に未確認の点を伝えやすくなります。
同じチェックシートは戸籍の謄本等の有無も確認項目に挙げています。戸籍謄本が手元にあるかを確かめ、ない場合は不足資料として記録します。ただし、この項目だけで、誰についてどの範囲の戸籍謄本が必要かは決められません。相続関係の資料と物件の存在確認を分けたうえで、不動産以外の財産債務にも目を向けます。
参照先:国税庁ホームページの「相続税の申告のためのチェックシート」
SECTION 09
不動産以外の財産債務はなぜ別に整理する?
不動産を複数確認できても、それだけでは相続に関係する財産債務の全体像にはなりません。亡くなった方の財産を相続や遺贈で取得した場合、相続税の対象となる本来の相続財産には、土地・家屋のほか現金や預貯金なども含まれます。物件とは別に、そうした項目の有無を確かめ、誰に帰属するかや価額が未確認なら、そのまま記録します。
死亡時の債務は財産と混ぜない
借入金や未払金も、預貯金などとは分けて確認します。相続税の計算で遺産総額から差し引ける債務は、原則として亡くなった方の死亡時に現に存在し、確実と認められるものです。支払いに関する資料を見つけても、それだけで控除できると決めず、誰の債務か、死亡時にどのような状態だったかを確認する材料として扱います。
例えば、不動産の資料だけがまとまっているときは、現金・預貯金などの財産と借入金・未払金などの債務について、確認済みの項目と確認待ちの項目を別に整理します。物件数の多さから相続税申告の要否を決めたり、債務の控除可否を資料の有無だけで確定したりはできません。続いて、債務とは異なる葬式費用の資料も区別します。
参照先:国税庁ホームページの「No.4105 相続税がかかる財産」/国税庁ホームページの「No.4126 相続財産から控除できる債務」
SECTION 10
葬儀関連の支出は借入金と同じ扱いでよい?
支出の目的が分かるように整理する
借入金や未払金を整理した後は、葬儀に関係する支出を別に確認します。葬式費用は借入金や未払金とは別の項目ですが、相続税の計算では一定の範囲で遺産総額から差し引けます。国税庁ホームページの「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」は、遺産総額から差し引ける葬式費用と差し引けない費用の範囲を示しています。両者を同じ項目としてまとめないことが大切です。
葬儀の前後に支払ったものを、すべて差し引ける葬式費用として扱うこともできません。例えば香典返しの費用は、国税庁ホームページの「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」で、遺産総額から差し引く葬式費用には該当しないとされています。支払日だけで分類せず、何のための支出だったかを確認できる資料を分けておきます。
領収書などが手元にある場合は、葬儀に関する支出の内容が分かるものと、香典返しに関するものを混ぜずに整理します。内容が読み取れない支出は控除対象と推測せず、確認待ちの項目として残します。こうして債務と葬式費用を分けても、その場で差し引ける額や相続税額が決まるわけではありません。次に、計算へ進む前に確認が必要な理由を見ます。
参照先:国税庁ホームページの「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」
SECTION 11
資料が一部不足していても、税額を見積もってよい?
各人の課税価格を確認してから考える
葬式費用まで資料を分けても、一部の物件や財産債務が未確認なら、その情報だけで税額を確定できません。国税庁ホームページの「No.4105 相続税がかかる財産」で対象となる財産、「No.4126 相続財産から控除できる債務」で控除できる債務、「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」で葬式費用の範囲を確認したうえで、「No.4152 相続税の計算」が示す計算順序に沿って、財産を取得した人ごとの課税価格を計算します。資料を集めたことと、各人の課税価格が定まったことは別です。
例えば、ある土地の存在は確認できても、ほかの物件や預貯金について確認待ちの項目があれば、取得した財産の全体像はまだ分かりません。また、各人が実際に取得した財産に直接税率を掛けて相続税額を出す仕組みでもありません。法定相続分に応ずる取得金額に対応する税率と控除額は、国税庁ホームページの「No.4155 相続税の税率」で確認できます。物件数から税額を推測しない理由の一つです。
不足資料があるときは、仮の金額で埋めて個別の税額や相続税申告の要否を断定するより、どの物件・財産債務に関する情報が足りないかを明確にします。確認できた事実、まだ確かめていない点、資料の確認先を区別すれば、相談の際に何から確かめるかを話し合えます。税率や具体的な税額の判断は、資料と個別事情を確認した後の課題です。
参照先:国税庁ホームページの「No.4105 相続税がかかる財産」/国税庁ホームページの「No.4126 相続財産から控除できる債務」/国税庁ホームページの「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」/国税庁ホームページの「No.4152 相続税の計算」/国税庁ホームページの「No.4155 相続税の税率」
SECTION 12
不動産資料がそろわないとき、事務所へ何を伝える?
物件ごとの手がかりと不足を伝える
山鹿市にある複数の不動産について相談するときは、物件ごとに存在や利用状況について確認できたことと、まだ確かめていないことを分けて伝えると、何から確認するかを話し合いやすくなります。宮伸一税理士事務所の相続業務ページは、不動産を特定する手がかりとして固定資産税課税明細書と登記事項証明書を挙げています。
これらの資料が手元にある物件はその旨を伝え、ない物件についても相談対象から外さず、不足資料と確認先・確認予定を知らせます。不動産以外の財産債務や葬式費用についても、確認済みの項目と未確認の項目を添えると、資料の不足を隠さず相談できます。すべてそろうのを待って推測で埋めるのではなく、現時点で分かる範囲を区別して伝えることが大切です。
宮伸一税理士事務所は熊本県内を対象地域とし、相続税申告を取扱領域としています。ご家族が手元の資料と不足している資料を伝えれば、事務所と何から確認するかを整理する相談ができます。個別の対応や相続税申告の要否は、資料を確認する前には決められません。ご連絡の際は、宮伸一税理士事務所の問い合わせページからお願いします。
参照先:宮伸一税理士事務所ホームページの「相続税申告・生前の相続税試算」
FAQ
よくある質問
固定資産税課税明細書だけ手元にある物件は、相談対象から外しますか?
いいえ。事務所の相続業務ページでは、固定資産税課税明細書を不動産特定の手がかりとして挙げています。その物件について分かることと、登記事項証明書など手元にない資料を分けて伝えてください。
遺言書に書かれていない別の市区町村の土地も確認しますか?
はい。チェックシートには、他の市区町村に所在する不動産の有無も確認項目として挙がっています。遺言書の記載だけで物件の全体を確定せず、把握している土地と資料の有無を別に確認してください。
葬儀後の支払いをすべて借入金や未払金と一緒にしてよいですか?
いいえ。葬式費用は債務とは区別され、香典返しの費用は控除対象となる葬式費用に該当しません。支払いの内容が分かる資料を分けて残し、相続税計算上の扱いを確認してください。
運営者
宮伸一税理士事務所