熊本県内でご家族が亡くなり、「公正証書遺言があると聞いたが、手元にはない」という場合、まず知りたいのは遺言書をどう確認するかでしょう。ただし、遺言書の取得先を確かめることと、相続税申告に向けて財産債務を調べることは別の話です。遺言書をまだ確認できていない段階で、その内容や財産の現状まで決めつける必要はありません。
手元にある遺言書の情報、所在が分からない情報、財産債務について分かっている項目を分けておくと、次に何を尋ねるべきかが明確になります。相続税申告の要否を調べる道具には入力内容に応じた判定という限界があり、申告書も作成されません。公正証書遺言の取得方法は別途確かめながら、税務については対象年の資料と個別の事実を照らし合わせてください。
SECTION 01
公正証書遺言が手元にないとき、何から区別する?
熊本県内にお住まいのご家族が亡くなられた後、「公正証書遺言があったはず」と聞いても、手元にない段階では、遺言書があると確認できたのか、置き場所だけが分からないのかを分けて考える必要があります。誰かが話していたことと、現物を見たことは同じではありません。まずは、今分かっていることを言葉にしておくと、確認したい点がはっきりします。
「あるらしい」と「所在が分からない」を分ける
例えば、家族から作成したと聞いたことがある場合と、以前に遺言書の現物を見たが今は手元にない場合では、伝えられる情報が異なります。聞いた時期や話した人、見たものの種類など、思い出せる範囲を整理し、曖昧な点は曖昧なまま残してください。「どこかに保管されているはず」という推測を、所在が確認できた情報として扱わないことが大切です。
遺言書について確認したいことと、相続税申告に向けて財産債務を調べることも別の話です。遺言書が見当たらなくても、手元で分かる財産債務の情報まで保留する必要はありません。一方で、財産に関する資料が集まったことを理由に、遺言書の所在まで判明したと考えることもできません。取得に関する窓口や申請できる人、必要な書類は推測で決めず、確認待ちの事項として分けておきます。
SECTION 02
遺言書について、誰から聞いた何を伝えられる?
公正証書遺言について家族に尋ねるときは、「誰から」「いつ頃」「何を」聞いたのかを一緒に確かめると、後で現物の情報と混同しにくくなります。「作ったと本人から聞いた」という話と、「内容を家族から聞いた」という話でも、分かる範囲は違います。伝えてくれた人の話を否定する必要はありませんが、聞き取った内容を、そのまま確認済みの遺言書の内容として扱わないようにします。
現物を見た情報は、見た範囲まで
手元に写しなどがある場合も、それに書かれていることと、人から聞いた説明を分けて伝えます。見たのが遺言書の一部なのか、全文なのか分からなければ、その点も明らかにしておきます。現物を確認した経験があっても、記憶だけで書かれていた人や財産を言い切らず、「ここまでは見た」「ここからは聞いた」と区切るほうが、その後の確認事項を見落としにくくなります。
家族ごとに話が違うときは、どちらかを急いで正しいと決めるより、それぞれの話と確認できたものを分けて整理してください。公正証書遺言の存在や記載内容、効力は、伝聞だけでは確定できません。まだ現物が確認できていないなら、知りたいことは「遺言書の有無」「所在」「書かれている内容」のどれなのかを明確にして、次の確認に備えます。
SECTION 03
遺言書に書かれた財産は、今も存在する?
遺言書が見つかっても、そこに書かれた財産が現在も存在するとは限りません。遺言書で確認できるのは、まず記載されている項目です。それぞれについて、今どのような状況か確認できた情報とは分けて考えます。遺言書に名前があることだけをもって、残高や現存の有無、誰に帰属するかまで決めないようにしてください。
記載された項目と、確かめた状況を分ける
例えば、遺言書に口座や不動産に関する記載があれば、まずは書かれている名称や内容を読み取れる範囲で整理します。そのうえで、その項目について手元の資料から今何が分かり、何がまだ分からないかを分けます。記載を読み取れない部分があれば推測して補わず、確認待ちとして残します。遺言書の記載と、後から集めた情報が一致しない場合も、片方に合わせて書き換えるのではなく、その違いを確認する対象にします。
この作業は、遺言書の効力や財産の帰属を判断することとは異なります。家族から「もう残っていない」と聞いた項目も、聞いた話として残し、確認した事実と混ぜないことが大切です。記載された財産の存在確認を一つずつ進める一方で、財産債務の全体を整理する作業は別に行います。遺言書に書かれている項目だけを調べ終えても、ほかに確認すべき項目がないとは言えないためです。
SECTION 04
遺言書にない財産債務をどう扱う?
遺言書に記載がないことは、その財産債務が存在しないことの証明にはなりません。手元にある資料や家族から聞いた話を手がかりに、記載外にも確認したい項目がないかを見ていきます。ここでは、遺言書の内容を補うために項目を作るのではなく、相続税申告に向けて確認できた情報と未確認の情報を区別することが目的です。
分からない金額は、分からないまま残す
口座について存在を聞いていても残高が分からない、支払いについて話を聞いたが債務かどうか確かめられていない、といった状況は区別しておきます。遺産候補は財産債務の「項目」として整理し、確認できたこと、確認待ちのこと、次に何を確かめたいかを分けると、分からない金額を推測で埋めずに済みます。口座の名前だけで、その中のお金の使途や全額の帰属を決めることも避けてください。
遺言書に書かれた項目の現存確認と、記載外の財産債務の洗い出しは、どちらか一方で済むものではありません。家族の記憶と手元の資料が食い違う場合は、差があること自体を確認待ちとして残します。遺言書だけで全体を確定したり、不明な残高や債務を仮の数字で埋めたりせず、確認できた項目から税務上の検討に進むための情報を整えます。
SECTION 05
申告要否判定コーナーの結果で何が分かる?
財産債務を調べ始めると、「相続税申告が必要なのか」を早く知りたくなるかもしれません。国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」は、相続財産の金額などを入力し、その入力内容に基づいて相続税申告のおおよその要否を判定するためのものです。手元の情報を入力して得た結果は、調べる際の手がかりにはなりますが、個別の相続について申告要否が確定したという意味ではありません。
結果を見る前に、入力した内容を見る
遺言書に記載された財産の現存や、記載外の財産債務がまだ分からないなら、入力できた金額にも限りがあります。判定結果を見るときは、どの項目を確認できていて、どの項目は未確認のままなのかを振り返ってください。分からない残高を仮定して入力し、その数字から出た結果を確定した結論として扱うことは避けます。調べている途中と、必要な情報を確認できた後とでは、判断の前提が異なります。
特に、家族から聞いた金額と資料で確認した金額を混ぜたままでは、結果が何を前提にしているのか分かりにくくなります。確認済みの金額と、まだ確認できていない項目を分けておけば、判定後に何を調べ直すべきかも見えます。相続税申告の要否については、入力結果だけで決めず、残る未確認事項を明らかにして検討を続けてください。
参照先(入力に基づく判定の用途を確認する。):国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」
SECTION 06
判定後、申告書もできている?
判定結果が出ても、それを相続税の申告書と取り違えないでください。国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」は、相続税の申告書を作成するものではありません。結果を見たことや、項目を入力し終えたことだけをもって、申告書ができた、申告が完了したと考えることはできません。
判定結果と申告の準備は別
判定に使った金額について、どの資料で確かめたか、まだ確認していない項目は何かを整理しておくと、結果を見た後に立ち止まりやすくなります。入力を終えた安心感だけで資料の確認を止めず、遺言書の情報と財産債務の情報を引き続き分けて扱います。特に、遺言書の記載だけを基に入力した場合は、記載外の項目がないかという問いが残っています。
相続税申告に向けた資料を調べる際は、その相続が対象となる年に対応したものかも確かめます。手元にある資料の年が分からない場合は、現在使う資料だと決めつけず、確認待ちとしておきましょう。判定結果、入力の前提となった情報、まだ分からない項目をそれぞれ伝えられるようにしておけば、申告書の準備について相談するときも、何から確認したいかを具体的に話せます。
参照先(判定後にも申告書の準備が別に必要なことを確認する。):国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」
SECTION 07
手元の申告資料は亡くなった年に合っている?
相続税申告の資料を読む前に、亡くなった方の年と、手元の資料が対象とする年を照らし合わせてください。国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」は、令和8年4月1日現在の法令等に基づいて作成され、原則として令和8年1月1日から12月31日までに亡くなった方に係る相続税申告のしかたなどを説明しています。
資料の発行年ではなく、対象となる相続を確認
例えば、ご家族が令和8年以外に亡くなった場合、手元に令和8年分用の冊子があっても、その説明をそのまま当てはめないでください。「令和8年分用」という表記と、亡くなった日を確認することが先です。資料を受け取った日や印刷した日だけでは、その相続に合う資料かどうかは分かりません。
手元の冊子に対象年が見当たらないときは、年を推測して読み進めず、表紙などで確認できた名称と、亡くなった日を控えておくと、どの年の説明を確認したいのか伝えやすくなります。対象年が合うことを確かめてから、申告に伴う書類の説明を見ていきましょう。
参照先(申告資料の対象年と作成時点を確認する。):国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」
SECTION 08
申告に伴う提出書類はどこで確かめる?
相続税の申告に伴って提出する書類を調べるなら、国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」にある「(参考)相続税の申告の際に提出していただく主な書類」を確認できます。令和8年分用では73~75ページの掲載項目です。申告書の記載例とは別の箇所なので、書類について調べたいときは項目名を目印にしてください。
「主な書類」と、手元で必要になる書類は分けて考える
掲載されているのは、申告の際に提出する主な書類です。自分の相続で何を提出するかが、この掲載箇所だけで確定するわけではありません。冊子を開いて該当する項目を見つけても、手元にあるものと、まだ確認できていないものを区別しておくと、個別に確かめたい点が明確になります。
提出書類を探す場面では、財産そのものが存在するかという確認と、申告に際して何を提出するかという確認を混同しないことも大切です。まず令和8年分用の掲載箇所を把握し、個別の提出物は相続の状況に沿って確かめてください。
参照先(申告の説明と提出する主な書類の掲載箇所を確認する。):国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」
SECTION 09
令和8年分の冊子と掲載PDFは同じ記載?
税務署等で配布された令和8年分用の「相続税の申告のしかた」を手元に置いている方は、第14表の記載例を参照する前に、国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」のお知らせを確認してください。配布されたものの70ページにある相続税申告書第14表の記載例には、誤りがあると告知されています。
第14表の記載例は正誤表と照らす
同ページでは訂正内容を正誤表で確認でき、掲載されている令和8年分用のPDFは、その誤りを訂正した後のものとされています。手元の冊子と掲載PDFの記載が違うと気付いたら、どちらを見ているかを確かめ、該当箇所を正誤表と照らしてください。単に冊子とPDFの記載が異なるという理由だけで、別の項目まで訂正があると考える必要はありません。
このお知らせが対象とするのは、令和8年分用の第14表の記載例です。ほかの年の資料や申告書全体に同じ訂正があると広げず、第14表の記載例を使う場面で確認する情報として扱ってください。
参照先(手元の冊子と掲載PDFの記載例の違いを確認する。):国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」
SECTION 10
財産の所在が曖昧なままでも税務の相談はできる?
財産の所在がすべて分かっていなくても、判明している項目と確認待ちの項目を分けて伝えることはできます。宮伸一税理士事務所ホームページの「相続税申告・生前の相続税試算」では、相続税申告サービスの内容として相続財産の調査・確認を案内しています。ただし、どこまで支援を受けられるかは、個別に確かめる必要があります。
不明な項目は、分かったこととして扱わない
例えば、手元の遺言書に書かれている財産についても、その記載と、現在確認できている状況を分けて伝えてください。遺言書に記載があるだけで、財産の現存や記載外の財産債務の有無まで確定したことにはなりません。分からない項目は推測で補わず、何をまだ確かめていないかを伝えれば、財産確認について相談したい内容が明確になります。
相続財産の調査・確認についての案内は、公正証書遺言の取得代行を案内するものではありません。遺言書の取得方法が不明なことと、税務上、財産の何を確認したいかは別の話として伝え、相談できる範囲を確かめてください。
参照先(相続税申告に向けた財産確認の相談範囲を確認する。):宮伸一税理士事務所ホームページの「相続税申告・生前の相続税試算」
SECTION 11
熊本県内で相続税申告を相談するとき、何を伝える?
熊本県内でご家族が亡くなられ、相続税申告について相談したい方は、遺言書について分かっていることと、財産債務について確認できたことを分けて伝えてください。宮伸一税理士事務所は熊本県内を対象地域とし、相続税申告に対応しています。相談時には、個別の事情に応じた対応範囲も確かめてください。
遺言書の情報と財産債務の確認状況を伝える
最初に伝える情報は、確認できたことと未確認のことを区別すると整理しやすくなります。
- 公正証書遺言について、手元で存在や記載内容を確認できているか。取得方法が分からなければ、そのまま未確認と伝える。
- 遺言書に記載された財産について、現状を確認できた項目と、まだ確認できていない項目は何か。
- 遺言書の記載とは別に、財産債務について把握している項目と、確認待ちの項目は何か。
宮伸一税理士事務所は、相続税申告サービスで相続財産の調査・確認を案内しています。手元の情報を伝えたうえで、税務上は何から確かめるか、どの範囲を相談できるかを一緒に整理してください。遺言書の取得方法が分からない場合も、その方法を推測して財産の確認状況と混ぜないことが大切です。
参照先(相続税申告に向けた財産確認の相談範囲を確認する。):宮伸一税理士事務所ホームページの「相続税申告・生前の相続税試算」
SECTION 12
相続登記の確認も税務相談だけで済む?
いいえ。相続税申告について相談することと、相続登記などの不動産手続きを進めることは別の確認事項です。宮伸一税理士事務所は相続税申告に対応していますが、相続登記などの不動産手続きについては、外部専門家(司法書士等)の紹介を案内しています。税理士が相続登記を代行するという意味ではありません。
税務と不動産手続き、それぞれの相談内容を分ける
不動産について税務上の確認が必要なことと、相続登記の手続きを誰に確認するかは分けて伝えると、相談したい内容が明確になります。外部専門家の紹介を希望する場合も、紹介の可否や範囲は個別に確かめてください。遺言の効力の判断まで税務相談に含まれると考えず、別途確認が必要な事項として扱います。
相続税申告については、遺言書に関して判明した情報と、財産債務について確認できた項目・確認待ちの項目を知らせるところから相談できます。ご連絡の際は、宮伸一税理士事務所の問い合わせページからお願いします。手元の情報を基に、税務上の確認事項と、別の専門家への確認が必要な事項を分けて相談してください。
参照先(税務相談と相続登記の担当を区別する。):宮伸一税理士事務所ホームページの「相続税申告・生前の相続税試算」
FAQ
よくある質問
遺言書に財産の記載があれば、申告に必要な財産はすべて分かりますか?
現時点では判断できません。記載された項目が現在も存在するか、記載されていない財産債務があるかを分けて確かめ、分からない項目は確認待ちとして伝えてください。
相続税の申告要否判定コーナーを使えば、申告書まで完成しますか?
いいえ。国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」は入力内容からおおよその要否を判定しますが、申告書は作成しません。申告の準備を進める場合は、亡くなった年に合う国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた」を確かめてください。令和8年に亡くなった方の場合は、国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」が該当します。
令和8年分用の手引きを紙で持っていれば、掲載PDFを見なくてもよいですか?
いいえ、同じ記載とは限りません。令和8年分用については、税務署等で配布する冊子の第14表の記載例に誤りがある旨が告知され、掲載PDFでは訂正されています。手元の資料が該当する場合は、掲載PDFと正誤表を確認してください。
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