菊陽町にお住まいのご家族が亡くなられた後、相続人の中に認知症の方がいると分かった場合、相続税の計算に着手する前に、関係者の状況を確認し整理しておく必要があります。認知症という判断名だけで手続の進め方を決めるのではなく、戸籍謄本や遺言書の有無、相続人間の連絡を担う人、そして本人の意思確認がどこまで可能かという状況を、それぞれ分けて把握することが出発点です。
この記事では、相続人、受遺者、財産を管理している人、税務以外の判断に関わる専門家を区別し、相続税申告へ進む前の確認順を説明します。制度や書式は改正される可能性があり、本人の状態や家族関係によって必要な対応も異なるため、個別の申告要否や手続の適否は専門家へ確認してください。
SECTION 01
認知症の方を含む相続で最初に整理すべき事項
認知症の方が相続人に含まれるときは、亡くなった方との親族関係、遺言によって財産を受ける人、日常的に本人を支援する人を同じ立場として扱わないことが重要です。菊陽町に住んでいることや交流の頻度だけで相続人を決めず、戸籍謄本で確認できた事実と家族から聞いた内容を区別して記録します。
関係者の記録には、亡くなった方、相続人の候補、受遺者の候補、財産債務の保管状況を知る人、本人との連絡を補助する人を含めます。ただし、連絡窓口となっている家族が本人に代わって遺産分割や申告内容を決定できるとは限りません。誰が何を説明し、どの事項が未確認かを残します。
税金の計算をスムーズに進めたいからといって、誰が相続人か、誰が代理できるかを都合よく決めることはできません。本人の意思確認、代理に関する手続、遺言の有効性などに疑問がある場合は、税理士が扱う税務上の整理と、法律分野の専門家へ確認する事項を早い段階で切り分けます。
SECTION 02
相続人・受遺者・連絡担当者の区別
相続人は戸籍謄本などに基づいて確認する対象であり、受遺者は遺言書の記載を踏まえて別に確認する対象です。財産の所在を知る家族、通帳を保管する人、介護や生活支援に関わった人が、相続人または受遺者と一致するとは限りません。関係者ごとに根拠となる資料と確認した日を対応させます。
判断名と相続上の立場を結び付けない
認知症の判断を受けているという事情だけから、相続人としての立場、遺産分割への参加方法、申告書への関与を一律に決めることは避けます。意思を確認できる状況は人によって異なり、時期によっても変化し得ます。判断に関する資料、支援の状況、家族が把握している事実を混同せずに記録します。
連絡担当者を決める場合も、その役割が資料の収集、日程調整、本人への説明補助のどこまでかを明らかにします。相続税申告の内容を決める権限があるかどうかは別の問題です。税理士へは窓口の氏名だけでなく、本人との関係、共有できる資料、法的な確認が済んでいる範囲も伝えると整理が進みます。
SECTION 03
戸籍謄本から確認する家族関係
家族関係の確認では、亡くなった方の出生から死亡までのつながりが分かる戸籍関係資料と、各相続人に関する戸籍謄本の取得状況を確認します。手元の資料だけではつながりを追えない場合、誰のどの期間が不足しているかを記録します。家族の記憶だけで相続人の範囲を確定させないことが大切です。
再婚、養子縁組、先に亡くなった親族などが確認された場合は、家族関係図に反映しつつ、資料上の裏付けがある関係と聞き取り段階の関係を線種で分けます。この線は親族関係を整理するためのものであり、生前の資金移動や贈与の成立を示すものではありません。別の事実として資料を確認します。
相続人の候補に連絡が取れていない人がいても、その事情だけから相続人ではないと扱ったり、別の人への代襲が生じると判断したりはできません。先順位の相続人が相続開始前に亡くなっているなど、確認が必要な事実を戸籍謄本と対応させます。法的な範囲に疑問があれば法律分野の専門家へ確認します。
SECTION 04
遺言書と受遺者を確認する順序
遺言書がある場合は、種類、作成日、保管状況、記載された受遺者や遺言執行に関わる人を確認します。遺言書に財産が記載されていても、その項目が相続開始日に残っているか、記載されていない財産債務があるかは別途調べます。発見した文書の内容と、現在確認できる事実を分けて扱います。
受遺者と日常の支援者を混同しない
認知症の方の生活を支えていた親族が遺言書に記載されている場合でも、支援者、相続人、受遺者という立場はそれぞれ確認します。また、遺言書に名前があることだけで取得内容や税務上の取扱いを断定せず、対象となる財産、取得の時期、他の関係者との関係を申告準備の事実として整理します。
遺言の有効性、遺留分侵害額請求を巡る意見、受遺者の法的立場に争いが見込まれる場合、税額計算だけで解決できる問題ではありません。税理士へは遺言書の写し、財産の存在確認、当事者間で一致している事項を共有し、法律判断が必要な部分は別の専門家へ確認する流れを検討します。
SECTION 05
本人の意思確認と税務判断の境界
認知症の方については、家族が「理解できないと思う」と説明する場合でも、それだけで本人の意思確認の可否や必要な支援方法を決めません。いつ、誰が、どの内容を、どのような方法で説明したかを記録し、医療や生活支援に関する資料と税務資料を区別します。税理士には確認済みの事実を伝えます。
遺産分割の合意方法や代理権の有無は、相続税の計算の前提に影響する可能性がありますが、税理士が判断や法律上の権限を決定するものではありません。本人に代わって署名する人がいる場合は、単なる連絡補助なのか、別途確認された権限に基づくのかを分け、根拠となる文書の有無を確認します。
本人の状態に関する確認が終わっていなくても、戸籍謄本の取得状況や相続開始日の確定、遺言書の有無の確認、財産債務の所在確認といった客観的な事実の把握については、本人の意思確認の結果を待たずに並行して進めることができます。ただし、こうした調査から得られた取得者や分割内容を、既に確定した前提として税額計算にそのまま反映することは避けます。法律面の確認予定と相続税申告の準備予定は、別々に管理します。
SECTION 06
財産債務と管理状況の把握
財産債務の確認では、預貯金、不動産、有価証券、保険関係、借入れや未払の項目など、存在を確認した項目と調査中の項目を分けます。認知症の方や支援する家族が保管場所を把握していない場合も、推測した金額を確定値として扱わず、照会先、取得予定の資料、回答待ちの内容を記録します。
管理している人と所有者を分けて記録する
通帳、証書、固定資産関係の書類などを家族が保管していても、保管者がその財産を取得したとは限りません。相続開始時に誰の財産であったか、誰が現物や記録を管理しているか、遺言書や財産目録にどのように記載されているかを分けます。生前の資金移動がある場合も同じ順序で確認します。
土地や建物などの評価を検討するときは、所在地、利用状況、持分、相続開始日の状態を確認記録と結び付けます。現況と確認記録に即した検討が必要です。
国税庁ホームページの「財産評価」は、財産評価基本通達の内容を確認する際に用います。ただし、ページ名だけから個別財産の評価額は決まりません。
SECTION 07
相続税申告の要否を検討する準備
相続税申告の要否は、相続などで取得した財産について税務上の課税価格を検討し、基礎控除との比較関係を確認して判断します。認知症の方が相続人であることだけでは結論を出せません。相続人の確認、取得が見込まれる項目、債務などの資料、評価が未確定の項目を明確にした上で計算へ進みます。
概算を行う段階では、国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」と「相続税の申告のしかた」を確認できます。ただし、入力結果は入力した内容に左右されるため、戸籍謄本が不足している場合や財産の評価が済んでいない場合は確定的な判断に用いません。使用した金額、資料の日付、未入力の項目を残します。
申告書の準備や判断項目を確認する場合は、国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた」を参照します。手続の期限、添付する書類、適用を検討する制度は相続開始時期や個別事情で変わる可能性があります。過去の家族の申告と同じ処理を前提にせず、今回の相続開始日に対応する内容を確認します。
SECTION 08
財産評価と取得者が未確定の場合
財産評価は、預貯金の残高を集計する作業だけではありません。不動産や有価証券など、項目ごとに相続開始日の状況と評価に必要な資料を確認します。認知症の方が取得する予定と家族が考えていても、分割内容が法的に確定していない段階では、その予定と確認済みの取得関係を分けて記録します。
評価資料と分割予定を別々に管理する
土地については所在、利用状況、権利関係などを確認し、評価に必要な確認事項の不足を把握します。分割予定が変わる可能性も考慮し、評価対象の項目と取得者に関する検討状況を切り離して伝えます。
国税庁ホームページの「財産評価」で確認できる取扱いも、個別の土地へ機械的に当てはめるものではありません。
取得者が定まっていない場合でも、相続税申告の期限が自動的に延びるとは限りません。認知症の方の意思確認や法律上の手続に時間を要すると見込まれるときは、期限直前まで税務相談を待たず、現時点で確認できた財産債務、関係者、専門家への照会状況を共有し、申告準備の進行方法を確認します。
SECTION 09
制度変更と個別事情への対応
相続税の申告書、評価の取扱い、添付書類などは改正されることがあり、以前の相続で用いた資料や計算方法をそのまま利用できるとは限りません。2026年9月3日時点で準備を始める場合も、実際の相続開始日、申告時点の制度、取得関係を確認し、古い書式や家族内の説明だけで結論を固定しないようにします。
認知症の方の状態、遺言書の内容、相続人間の意見、代理に関する確認状況によって、必要な専門家や確認順は異なります。税理士は相続税の計算と申告準備に関する事実を確認できますが、遺言の効力、紛争の代理、相続登記などは、それぞれの分野を扱う専門家による確認が必要になる場合があります。
税制上の特例や軽減措置は、名称が当てはまりそうという理由だけで適用を見込みません。申告期限、取得者、対象財産の利用状況など、各制度に対応する要件を申告時点で確認します。個別の適用可否、税額、節税効果はこの記事から断定せず、資料がそろった段階で税理士へ計算の前提を確認します。
SECTION 10
相談時に共有する関係者記録
相談時には、亡くなった方との関係、相続人または受遺者として確認中の人、認知症の方への連絡を補助する人、財産債務の保管状況を知る人を伝えます。氏名だけでなく、戸籍謄本や遺言書で確認できた範囲、聞き取りにとどまる範囲、追加確認を予定している事項を区別すると説明が明確になります。
関係者ごとの確認根拠を税務相談へ渡す
家族関係図を用意する場合は、戸籍関係資料による裏付けがある線を実線、口頭説明だけの線を点線にするなど、確認状況を見分けられる形にします。親族関係を表す線から贈与や財産取得の事実を判断せず、生前の資金移動、相続開始時の管理状況、遺言書の記載を別の記録として添えます。
認知症の方に関する資料を添える目的は、ご本人の判断内容が正しいかどうかを税理士に判断してもらうことではなく、税務計算の前提となる事実に未確定な部分があることを伝えることにあります。ご本人への説明状況、連絡担当者の役割、法律分野の専門家へ確認している事項などを伝え、これらは税務資料とは区別して扱います。財産の取得者を仮定して試算する場合は、その仮定も明記します。
SECTION 11
認知症の方を含む相続税相談の進め方
宮伸一税理士事務所ホームページの「相続税申告・生前の相続税試算」では、事務所が取り扱う相続税申告と生前の相続税試算を確認できます。宮伸一税理士事務所は熊本県内を対象地域としており、所長税理士が直接担当する方針です。対応範囲は相談内容と資料の状況を踏まえて確認します。
最初の連絡では、相続開始日、菊陽町との関係、認知症の方を含む相続人の確認状況、遺言書の有無、申告期限までの状況を伝えます。続いて、戸籍謄本、財産債務の資料、関係者の記録のうち手元にあるものを示し、法律分野の確認が進行中であれば、その対象と確認予定も共有します。
個別の相続税申告の要否、税額、特例の適用、本人に必要となる法律上の手続は、資料を確認する前に確定できません。宮伸一税理士事務所へ相続税の計算前提や申告準備の進め方を尋ねる場合は、確認済みの関係者と保留中の事項を分け、ご連絡の際は、宮伸一税理士事務所の問い合わせページからお願いします。
Q認知症の方が相続人にいる場合、家族だけで申告準備を進められますか。
A戸籍謄本や財産債務の資料収集を進められる場合はありますが、本人の意思確認や代理の扱いは個別事情で異なります。家族が連絡を補助している事実と法律上の権限を区別し、税務と法律の確認先を分けてください。
Q遺言書に認知症の方の名前があるとき、何を確認しますか。
A遺言書の種類、作成日、対象財産、受遺者としての記載を確認します。記載された財産の現存、記載外の財産債務、相続開始時の管理状況は別に調査し、遺言の効力に疑問があるときは法律分野の専門家へ確認します。
Q税理士へ最初に伝える内容は何ですか。
A相続開始日、相続人と受遺者の確認状況、認知症の方への連絡を補助する人、遺言書の有無、財産債務の把握状況を伝えます。未確定の取得者や専門家への照会中の事項は、確定した事実と区別して共有します。
SECTION 12
家族内で先にそろえる関係者の記録と確認事項
認知症の方が相続人に含まれるときは、最初に「誰が相続人か」だけでなく、「誰が受遺者か」「連絡役は誰か」を分けて整理します。家族の思い込みで進めると、後で関係者の抜けや重複が見つかることがあります。制度改正や個別事情で結論が変わるため、申告要否や特例適用を先に断定せず、事実確認を優先します。
確認の起点は、亡くなった方との関係が分かる戸籍謄本、遺言書の有無、連絡先が分かる家族情報です。聞き取りだけで分かる関係は、後で確認待ちとして残し、資料で裏付けられた関係と混同しないようにします。相続手続きの前段では、関係者の名前を並べるだけでなく、確認済み・未確認を分けて記録することが重要です。
また、相続人の中に認知症の方がいる場合でも、その方を一律に手続き不能とみなすのではなく、何を本人確認で扱い、何を家族の聞き取りで補うかを区別します。税理士が判断できるのは税務計算の前提となる事実整理であり、法的な代理や権限の有無そのものではありません。早い段階で関係者の役割を分けておくと、後の相談も進めやすくなります。
SECTION 13
資料の見方を分けて、相続人・受遺者・財産債務を整理する
遺言書を見つけた段階では、記載された財産が実際に存在するか、記載外の項目や債務があるかまでは確定しません。まず存在確認を行い、その後に一覧化を進めると、後日の確認漏れを抑えやすくなります。財産債務を同時に見るときは、総称を資産とまとめず、項目ごとに整理する意識が大切です。
家族関係図を作る場合は、資料で確認できた関係と、聞き取りで分かった関係を線の種類で分けると見やすくなります。親族関係だけを表す図にしておけば、贈与があったかどうかまで含意せずに済みます。相続人や受遺者の候補が多いときほど、確認済みと未確認を同じ扱いにしないことが、後の税務判断の土台になります。
生前贈与の有無を気にするときは、相続開始時の実際の手元や管理下にあるかどうか、遺言書や財産目録の記載とどう対応するかを確認します。見た目の所有感だけで判断すると、家族間の理解と税務上の整理がずれることがあります。認知症の方が関係者に含まれる場合も、推測で埋めず、確認予定の項目として残す姿勢が有効です。
INHERITANCE TAX CONSULTATION
認知症の方を含む相続税申告準備のご相談について
宮伸一税理士事務所では、確認できた相続人や財産債務の資料を踏まえ、相続税の計算の前提と申告準備についてご案内します。個別事情に応じた対応範囲は、資料の状況を確認した上でお伝えします。