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合志市の税理士 宮伸一税理士事務所のお役立ち情報

相続税・税務・会計に関するお役立ち情報を、分かりやすくお届けします。

熊本の相続開始直前に引き出した現金の扱い|手続きの順序

相続手続き全般

熊本県内にお住まいのご家族が亡くなられた後、通帳を見ると、その直前にまとまった現金が引き出されていた。そんなとき、口座残高だけを見ても、お金が何に使われ、死亡時にいくら残っていたかは分かりません。引き出した人が誰かという情報だけでも、現金の行方は決められません。

まず引出日と金額を押さえ、支払いや手元に残った現金について、確認できた事実を分けて整理します。そのうえで、相続税申告の要否を検討します。亡くなった方の所得について準確定申告が関係する場合は、相続税とは別に確認が必要です。分からない使途や残額は推測で埋めず、確認先とともに残しておくと、相談時に何から調べるかを決めやすくなります。

SECTION 01

直前の引出金について、最初に何を確かめる?

熊本県内にお住まいのご家族が亡くなられた後、通帳に直前の大きな引出しを見つけると、その全額が死亡時にも現金で残っていたのか気になるかもしれません。ただし、通帳に記録された引出額は、口座から出た金額を示すものです。死亡時の現金残額や、その現金が誰に帰属するかまで示しているわけではありません。

通帳の記録を確認の起点にする

まず、引出しがあった日と金額、引き出した人を、分かる範囲で引出しごとに確かめます。通帳の記録から日付と金額は読めても、誰が引き出したかは別に確かめる必要がある場合があります。家族の話と通帳の記録が異なるときは、一方に合わせて書き直さず、確認できたことと聞き取ったことを分けて残してください。

現金と預貯金はいずれも相続税の対象となる財産の種類に含まれます。しかし、預貯金から引き出されたというだけで、引出額をそのまま死亡時の現金として扱うことはできません。複数回の引出しがあれば、それぞれを起点に、その後のお金の動きをたどることが大切です。

参照先(現金と預貯金が相続税の対象となる財産の種類に含まれることを確認できます。):国税庁ホームページの「No.4105 相続税がかかる財産」

SECTION 02

引き出した後のお金の動きは、どこまで分かる?

引出日と金額が分かったら、死亡時までの間に、そのお金から何が支払われ、いくら残ったと確認できるかを見ていきます。一度に引き出したお金でも、複数の支払いに使われた可能性と、使われずに保管されていた可能性を分けて考えます。家族から「全部使ったはず」と聞いても、支出の内容と金額が分からなければ、引出額の全額を支出済みとはしません。

記録と聞き取りを突き合わせる

領収書などがあれば、支払日、支払先、金額を読み取り、どの引出しと関係しそうかを確認します。領収書が見当たらない支払いは、支払った人や同席した人に、時期、目的、金額、受け取った相手を聞き取ります。聞き取りで分かった内容は、書類で確認できた内容と区別しておくと、後から食い違いを確かめやすくなります。

支出をたどっても説明のつかない金額があれば、推測で特定の支払いに充てないでください。どの引出しの、いくらについて使途が分からないのかを確認待ちの項目として残し、誰に聞くか、どの記録を探すかを添えます。次は、支出の記録とは別に、死亡時に手元に残っていた現金を確かめます。

SECTION 03

死亡時に残った現金は、どう確かめる?

引出し後に使われなかったお金があるかどうかは、死亡時の状況から確認します。現金を見た人がいるか、どこに置かれていたか、誰が管理していたか、実際に数えて確認した金額はいくらかを分けて聞いてください。「家に現金があった」という話だけでは、直前の引出金の残額と同じ金額だったとは判断できません。

保管の事実と取得関係を分ける

たとえば、引き出した人と死亡時に現金を保管していた人が異なる場合、両者の名前と現金を受け渡した時期を確かめることが手掛かりになります。ただし、保管していた人が分かっただけで、その人に現金が民事上帰属すると決めることはできません。確認できた現金の有無や金額と、誰の財産を誰が取得したかという問題は別に残しておきます。

現金は相続税の対象となる財産の種類に含まれます。相続税の対象となるかは、原則として死亡した人の財産を相続や遺贈によって取得したかという条件に照らし、死亡時の事実と取得関係を確認して検討します。現金が残っていたという話だけで、個別の引出金の計上方法や帰属まで確定しないでください。

参照先(相続や遺贈で取得した財産が相続税の対象となる基本的な範囲を確認できます。/現金と預貯金が相続税の対象となる財産の種類に含まれることを確認できます。):国税庁ホームページの「No.4105 相続税がかかる財産」

SECTION 04

支出済みのお金は何に使われた?

現金が残ったかを確かめる一方で、支払われたお金については、支払日を死亡前と死亡後に分けて確認します。同じ引出金から出たように見えても、支払った時期が違えば、死亡時に手元にあった現金を考える際の位置づけも変わります。「引き出してすぐ使った」という説明だけで済ませず、いつ、誰に、何のために支払ったのかを一つずつたどります。

支出の名前より、支払いの事実を確認する

葬儀、医療、生活に関係する支出についても、呼び名だけで個々の金額の相続税上の取扱いを決めることはできません。領収書などに記された日付、支払先、金額を確認し、実際に支払った人や支払いに使ったお金について聞き取ります。死亡後に支払われたものを、死亡前に現金が使われた証拠としてまとめないことも大切です。

書類で確認できる支出、家族の説明だけがある支出、支払った事実自体がまだ確かでない項目を分けておくと、残額との関係を見直しやすくなります。領収書の金額と聞き取りの金額が違う場合は、どちらかに合わせて差額を消すのではなく、違いを残して確認先を決めてください。

SECTION 05

使途が分からない引出金は、どう扱う?

引出額から確認できた支出と死亡時に確認できた残額を見比べても、説明できない部分が残ることがあります。その金額を、使われたはずのお金として消したり、引き出した人への贈与や死亡時の相続財産と自動的に決めたりしないでください。不明なのは使途なのか、保管場所なのか、受け渡しの経緯なのかを分けると、次に何を確かめるかが明確になります。

分からない点には確認先を添える

通帳で確かめた引出日・金額、領収書で確かめた支払い、家族から聞いただけの説明を区別します。たとえば「引出し後に渡した」と聞いた場合は、誰が誰に、いつ、いくら渡したという説明なのかを聞き直し、受け渡しを確認できるものがあるかを確かめます。その話だけで、引き出した人への贈与が成立したと判断することはできません。

確認待ちの項目には、話を聞く相手や探す記録と、いつ確認する予定かを添えておきます。後から新しい領収書や別の家族の説明が出たときは、先の記録を消さず、何が新たに分かったかを見比べてください。使途不明の部分を残したままでも、確認できた事実と未確認の点を区別しておけば、現金や預貯金の扱いを検討する際に混同を避けられます。

SECTION 06

現金と預貯金は相続税でどう扱われる?

相続税では、現金も預貯金も対象となる財産の種類に含まれます。預貯金を引き出すと通帳上の残高は減りますが、それだけで引き出したお金が死亡時に存在しなかったとはいえません。一方、現金という財産の種類に当たることだけを理由に、通帳から減った額の全てを個別の現金として計上するとも決められません。

財産の種類と、誰が取得したかは別の確認

相続税は、原則として、死亡した人の財産を相続や遺贈によって取得した場合に、その取得した財産にかかります。したがって、直前の引出金を考えるときも、死亡時に何が残り、死亡した人の財産を誰がどのように取得したのかを確かめる必要があります。現金を見つけた場所や保管していた人の名前だけで、取得関係を決めないでください。

引出額、確認できた支出、死亡時に確認できた現金、不明な部分を区別し、預貯金についても通帳で確認できる内容を残します。これらは相続税申告の要否を考えるための材料ですが、直前の引出額だけから相続財産額や納税額を確定するものではありません。確認できていない金額や取得関係はそのまま明らかにし、確認を重ねてから検討します。

参照先(相続や遺贈で取得した財産が相続税の対象となる基本的な範囲を確認できます。/現金と預貯金が相続税の対象となる財産の種類に含まれることを確認できます。):国税庁ホームページの「No.4105 相続税がかかる財産」

SECTION 07

相続税申告の要否は、どの段階で検討する?

引出金の行方を確かめてから比較する

相続税申告の要否を考えるときは、まず、比較の対象となる課税価格の合計額を確認します。これは預貯金などの財産を単純に合計した金額ではなく、非課税財産、控除できる債務や葬式費用、相続税に加算する生前贈与などを確認して計算する金額です。その合計額を、法定相続人の数によって決まる遺産に係る基礎控除額と比較します。国税庁ホームページの「No.4105 相続税がかかる財産」で対象財産を、「No.4126 相続財産から控除できる債務」と「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」で差し引ける支出の範囲や条件を確かめ、「No.4152 相続税の計算」で課税価格を算出する流れを確認できます。人数の数え方も確認が必要で、相続放棄があっても放棄がなかったものとして数えます。養子については人数に含める数の制限や例外があるため、「No.4170 相続人の中に養子がいるとき」で扱いを確認します。合計額が基礎控除額を超える場合は、相続税の申告が必要です。直前の引出金があるなら、通帳から減った金額をそのまま結論に結び付けず、死亡時までの使途と残額を確かめてから比較を考えます。

引き出された現金が死亡時にどれだけ残り、誰が保管していたか分からない段階では、比較の前提を確定できません。また、合計額が基礎控除額を超えない場合でも、遺産分割の内容によっては申告が必要となる場合があります。「超えなさそう」という見込みだけで相続税申告の要否を決めず、確認できた金額と未確認の部分を分けておくことが大切です。

参照先(相続税申告の要否を検討する際の基礎控除額との比較と例外を確認できます。):国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」

SECTION 08

申告要否判定コーナーで何が分かる?

国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」は、相続財産の金額などを入力し、相続税申告のおおよその要否を調べるためのものです。引出金の使途や死亡時の残額をまだ確認できていないなら、入力する金額の前提も定まりません。分かっている金額だけを入れた判定を、未確認の現金まで調べ終えた結果として扱わないようにします。

このコーナーで相続税の申告書は作成できません。判定と申告の準備は分けて考え、申告について調べる際は、国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」も確認します。令和8年分用の資料は、原則として令和8年1月1日から12月31日までに亡くなった人に係る申告を説明するものです。判定結果を見た後も、亡くなった年に合う説明資料を選ぶ必要があります。

参照先(入力した金額を基に相続税申告の要否をおおよそ判定する機能を確認できます。/申告要否の判定と申告書作成の違いを確認できます。):国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」

参照先(令和8年分用の申告説明が対象とする相続開始年を確認できます。):国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」

SECTION 09

申告の説明資料は、どの年分を見る?

亡くなった年と資料の対象年を合わせる

国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」は、令和8年4月1日現在の法令等に基づく資料で、原則として令和8年1月1日から12月31日までに亡くなった人に係る申告を説明しています。手元の通帳に引出日が記載されていても、資料を選ぶときは引出年ではなく、亡くなった年を確認します。令和8年以外に亡くなった場合は、その年分に対応する資料を別途確認してください。

令和8年分用の同資料には、「相続税の申告の際に提出していただく主な書類」という項目があります。提出書類を調べる入口にはなりますが、目次に項目があることだけで、ご自身の相続に必要な書類を決めることはできません。引出金について確認できた記録と確認待ちの項目を分け、対象年に合う資料の該当箇所を見ながら、何を確かめる必要があるか整理します。

参照先(令和8年分用の申告説明が対象とする相続開始年を確認できます。/相続税申告の際に提出する主な書類を調べる掲載箇所を確認できます。):国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」

SECTION 10

亡くなった方の所得税も確認が必要?

亡くなった方の所得税の確定申告が必要な場合は、相続税申告とは税目別に分けて考えます。年の途中で亡くなった方については、相続人等が、その年の1月1日から死亡日までに確定した所得金額と税額を計算して行う「準確定申告」があります。ここでいう相続人等には包括受遺者も含まれます。引出金について相続税申告の要否を調べていることだけで、亡くなった方の所得税の申告が必要かどうかは決まりません。

準確定申告が必要な場合、申告と納税は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。死亡日や通帳の引出日を、そのまま4か月を数え始める日として扱わず、いつ相続の開始を知ったかを確認します。対象となる所得と税額、期限の確認先は、国税庁ホームページの「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」です。

参照先(亡くなった方の所得税について、準確定申告で扱う期間と申告する人を確認できます。/準確定申告が必要な場合の申告・納税期限を確認できます。):国税庁ホームページの「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」

SECTION 11

相続人等が複数いるとき、準確定申告書はどう出す?

亡くなった方について準確定申告が必要で、相続人等が2人以上いる場合は、準確定申告書に連署して提出できます。連署とは、相続人等がそれぞれ氏名を記して提出する方法です。誰が提出に関わるかを確かめる際は、この提出方法が相続人等の複数いる場合の説明であり、相続税申告の提出方法を説明するものではないことも区別してください。

各人が別々に準確定申告書を提出することもできます。その場合は、提出する申告書に他の相続人等の氏名を付記し、提出した相続人等から他の相続人等へ申告内容を通知する必要があります。別々に出すことを選ぶなら、提出方法だけでなく、誰に申告内容を知らせるかまで確認しておきます。提出方法は、国税庁ホームページの「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」で確認できます。

参照先(相続人等が複数いる場合の準確定申告書の提出方法を確認できます。):国税庁ホームページの「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」

SECTION 12

引出金の確認について、税理士に何を伝える?

引出しと死亡時の状況を分けて伝える

相続開始直前の引出金について相談するときは、引出日と金額に加え、確認できた支出、死亡時に確認できた現金の残額と保管状況を伝えてください。使途や残額が分からない部分は推測で埋めず、何を誰に確認する予定かも分けておくと、事務所と最初に確かめる内容を整理しやすくなります。個々の支出の相続税上の取扱いや現金が誰に帰属するかは、手元の記録だけで決めつけないことが大切です。

宮伸一税理士事務所は、熊本県内を対象地域とし、相続税申告を取扱領域に掲げています。また、相続税申告サービスとして相続財産の調査・確認を案内しています。相談時には、確認済みの情報と未確認の項目を知らせ、引出金の状況を踏まえて相続税申告に向けて何から確認するか、個別案件で対応できる範囲とともに相談できます。ご連絡の際は、宮伸一税理士事務所の問い合わせページからお願いします。

参照先(相続税申告に向けた財産の調査・確認について、事務所が公表するサービス内容を確認できます。):宮伸一税理士事務所ホームページの「相続税申告・生前の相続税試算」

FAQ

よくある質問

口座から引き出した金額を、そのまま相続財産の現金額として扱えますか?

現時点では判断できません。現金は相続税の対象となる財産の種類に含まれますが、引出額だけでは死亡時の残額や取得関係は分かりません。支払記録と保管状況を確認し、分からない金額は未確認として整理してください。

申告要否判定コーナーで判定すれば、相続税の申告書も作れますか?

いいえ、申告要否判定コーナーは申告書を作成するものではありません。財産の金額などを入力して申告のおおよその要否を調べる機能なので、引出金の残額や使途を確認したうえで利用してください。

相続人等が複数いる場合、準確定申告書は全員で連署する必要がありますか?

いいえ、連署で提出するほか、他の相続人等の氏名を付記して各人が別々に提出することもできます。別々に提出した人は、他の相続人等へ申告内容を通知する必要があります。まず、亡くなった方について準確定申告が必要か確認してください。

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