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合志市の税理士 宮伸一税理士事務所のお役立ち情報

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熊本の老人ホームの入居一時金の返還金|手続きの順序

相続手続き全般

親が有料老人ホームに入居していて、入居のときに入居一時金を支払っていた場合、亡くなった後に施設から「返還金があります」と連絡を受けることがあります。退去の手続、返還金の受け取り、相続人どうしの話合い、相続税の申告と、同じ時期にいくつもの手続が重なるため、何から手を付ければよいか迷う方は少なくありません。

入居一時金の返還は、老人福祉法と老人福祉法施行規則に定められた全国共通の仕組みです。熊本県内の施設であっても基本の考え方は同じで、そのうえで熊本県と熊本市がそれぞれ有料老人ホームの設置運営指導指針を定めています。

この記事では、e-Gov法令検索に掲載されている「老人福祉法」「老人福祉法施行規則」、国税庁ホームページの「No.4105 相続税がかかる財産」「No.4205 相続税の申告と納税」、国税不服審判所ホームページの公表裁決事例に書かれている範囲で仕組みを整理し、そのうえで、契約書の確認から相続税の申告までの手続の順序と、途中で分かれる道筋を並べます。

返還金を誰が受け取るのか、相続財産としてどう扱うのかは、入居契約の内容によって変わります。個別の結論は、施設との契約書を手元に置いて税理士と一緒に確かめるものとして読み進めてください。

SECTION 01

入居一時金の返還が法律で決められている範囲

老人福祉法第29条第9項では、有料老人ホームの設置者のうち、終身にわたって受領すべき家賃などの全部又は一部を前払金として一括して受領するものは、前払金の算定の基礎を書面で明示し、返還債務を負うこととなる場合に備えて必要な保全措置を講じなければならないとされています。

続く第10項では、設置者が前払金を受領する場合には、入居した日から一定の期間を経過する日までの間に、契約が解除され、又は入居者の死亡により終了した場合に、前払金の額から一定の方法で算定される額を控除した額に相当する額を返還する旨の契約を締結しなければならないとされています。入居者が亡くなったことで契約が終わる場面も、法律の条文の中で返還の対象として書かれていることになります。

「入居一時金」という名称でも前払金にあたる

老人福祉法施行規則第20条の9では、ここでいう前払金について、入居一時金、介護一時金、協力金、管理費、入会金その他いかなる名称であるかを問わず、家賃又は施設の利用料と、介護、食事の提供などの日常生活上必要な便宜の供与の対価として収受する全ての費用とし、家賃の6月分に相当する額を上限とする敷金として収受するものを除くとしています。施設の書類で使われている名称が「入居金」「入居一時金」のどれであっても、まず前払金として受け取られたお金かどうかを確かめることが出発点になります。

参照先:e-Gov法令検索の「老人福祉法」/e-Gov法令検索の「老人福祉法施行規則」

SECTION 02

返還の対象になる期間と返還額の算定方法

老人福祉法施行規則第21条第1項は、返還の契約が必要になる「一定の期間」を二つに分けています。一つは、入居後3月が経過するまでの間に契約が解除され、又は入居者の死亡により終了した場合で、この場合の期間は3月です。もう一つは、入居後、一時金の算定の基礎として想定した入居期間が経過するまでの間に契約が終了した場合で、この場合はその想定した期間です。

同条第2項は、それぞれの場合の算定方法を定めています。入居後3月までの場合は、家賃等の月額を30で除した額に、入居の日から契約が終了した日までの日数を乗ずる方法です。想定した入居期間内の場合は、契約が終了した日以降の期間について日割計算で算出した家賃等の金額を、一時金の額から控除する方法とされています。

入居から亡くなるまでの期間で計算の道筋が変わる

手続の順序という点では、最初に「入居した日」と「契約が終了した日」を書面で確かめることが欠かせません。入居から3月以内だったのか、想定した入居期間の途中だったのか、想定した期間をすでに過ぎていたのかによって、返還金があるかどうか、どの方法で計算されるかが変わります。想定した入居期間がどれだけかは施設ごとに異なり、入居契約書や重要事項説明書に書かれた期間を見て判断します。

参照先:e-Gov法令検索の「老人福祉法施行規則」

SECTION 03

熊本県と熊本市の有料老人ホーム設置運営指導指針

熊本県ホームページの「熊本県有料老人ホーム設置運営指導指針の一部改正について(R7)」では、国の有料老人ホーム設置運営標準指導指針が令和6年(2024年)12月6日付で改正されたことに伴い、熊本県有料老人ホーム設置運営指導指針の一部改正を行ったと案内されています。

熊本市公式サイトの「熊本市有料老人ホーム設置運営指導指針」では、熊本市が「熊本市有料老人ホーム設置運営指導指針」を策定して事業者に対する指導に努めていること、定期的に立入調査を行い運営状況を確認することが案内されています。こちらも国の標準指導指針の改正に伴って一部改正を行ったとされています。

相続人が見るのは指針より先に施設との契約書

これらの指針は、県や市が事業者を指導するための基準です。返還金がいくらになるか、いつ、誰に支払われるかは、亡くなった方と施設との間で結ばれた入居契約に書かれています。施設が熊本市内にあるか、熊本県内の市外にあるかで参照される指針は異なりますが、相続人として最初に手に取るのは、指針ではなく入居契約書と重要事項説明書です。

参照先:熊本県ホームページの「熊本県有料老人ホーム設置運営指導指針の一部改正について(R7)」/熊本市公式サイトの「熊本市有料老人ホーム設置運営指導指針」

SECTION 04

亡くなってから相続税の申告までの手続の順序

入居一時金の返還金が関わる相続では、次の順序で進めると、前の手続で分かった事実を次の手続に使うことができます。順番を入れ替えると、返還額が決まらないまま遺産分割の話を始めたり、受け取る人の定めを知らないまま口座を指定したりすることになりかねません。

  1. 01

    施設へ亡くなったことを連絡し、退去と明け渡しの日程、返還金の有無を尋ねる

  2. 02

    入居契約書と重要事項説明書で、返還金の算定方式、支払時期、受け取る人の定めを確かめる

  3. 03

    居室の明け渡しを終え、施設から精算の内訳と返還額の通知を受け取る

  4. 04

    返還金を、ほかの預貯金や不動産と並べて財産の一覧に載せる

  5. 05

    契約上の受け取る人の定めに沿って、遺産分割の話合いでの扱いを決める

  6. 06

    返還金を含めた財産の合計で、相続税の申告が必要かどうかを確かめる

  7. 07

    申告が必要な場合は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納税を終える

このうち02と05は、契約の書き方によって道筋が分かれる手続です。次の節から、それぞれの段階で確かめることを順に見ていきます。

参照先:e-Gov法令検索の「老人福祉法」/国税庁ホームページの「No.4205 相続税の申告と納税」

SECTION 05

最初に入居契約書で確かめる返還金の定め

施設へ連絡したら、できるだけ早い段階で入居契約書と重要事項説明書の写しを手元にそろえます。亡くなった方の自宅に控えが見つからない場合は、施設に写しの交付を頼めるか尋ねてみてください。契約書で確かめたいのは、返還金の算定方式と支払時期、そして返還金を誰に支払うと書かれているかの三点です。

老人福祉法第29条第9項は、前払金を一括して受領する設置者に対して、算定の基礎を書面で明示することを求めています。入居時にどのような考え方で一時金の額が決められたのかが書かれた書面も、返還額を確かめる手掛かりとして一緒に保管しておくと、施設からの精算の内訳と照らし合わせやすくなります。

返還金を受け取る人の定め方は契約ごとに異なる

入居契約によっては、返還金を受け取る人として特定の家族の名前が書かれていることもあれば、相続人に支払うとだけ書かれていることもあります。どちらの書き方かによって、その後の遺産分割の進め方や、相続税の申告での扱いの考え方が変わる可能性があります。受け取る人の定めがどのような意味を持つかは、法令や国税庁ホームページの説明から一律には決められないため、契約書の文面を税理士に見せて確かめることをおすすめします。

参照先:e-Gov法令検索の「老人福祉法」

SECTION 06

退去と明け渡しのあとに返還額が確定するまで

返還額は、施設に連絡した時点ではまだ決まっていないことがほとんどです。老人福祉法施行規則第21条の算定方法は、契約が終了した日を基準にしているため、亡くなった日と契約が終了した日がそれぞれいつと扱われるのかを、施設からの通知で確かめます。精算の進め方や時期は契約と施設によって異なるため、明け渡しの日程とあわせて早めに尋ねておくと手続が滞りにくくなります。

施設から精算の書類が届いたら、返還される一時金の部分と、ほかの費用として差し引かれている部分があればその部分とを分けて読みます。差し引かれている項目が契約書のどの条項にもとづくのかが分からない場合は、受け取る前に施設へ説明を求めてください。

設置者に求められている受領の記録

老人福祉法施行規則第20条の6では、有料老人ホームの設置者は、一時金、利用料その他の入居者が負担する費用の受領の記録を記載した帳簿を作成しなければならないとされ、帳簿の保存期間は作成の日から2年間とされています。入居時に支払った一時金の領収書が見つからないときは、施設に支払の記録を確かめられるか尋ねてみる方法があります。

参照先:e-Gov法令検索の「老人福祉法施行規則」

SECTION 07

入居一時金の返還金は相続財産になりますか

契約の内容によって考え方が変わるため、一律には答えられません。国税庁ホームページの「No.4105 相続税がかかる財産」では、相続税は、原則として、死亡した人の財産を相続や遺贈によって取得した場合に、その取得した財産にかかると説明されています。そして、この場合の財産とは、現金、預貯金、有価証券などのほか、貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものをいうとされています。

国税不服審判所ホームページの公表裁決事例(平成18年11月29日裁決)では、有料老人ホームの入居一時金などに関する返還金と返還見込額が相続財産となるか否かが争点となりました。その事案では、亡くなった方が死亡時点で有していた権利は、居室等を終身にわたって利用し各種サービスを享受する権利とともに、死亡又は解約権の行使を停止条件とする金銭債権であり、当該金銭債権は、財産的権利として本来の相続財産に該当すると判断されています。

裁決事例は個別の契約を前提にした判断

この裁決は、夫婦で入居した方々の契約内容と、それぞれの一時金の負担割合を前提にした判断です。返還金を受け取る人が契約で特定の家族と定められている場合に、その家族が受け取る返還金をどう扱うかについて、国税庁ホームページで一般的な取扱いを示した説明は、この記事を書くにあたって確かめることができませんでした。ご自身の場合にどう扱うかは、契約書の文面と一時金を誰が支払ったかを示す資料を持って、税理士に確認してください。

参照先:国税庁ホームページの「No.4105 相続税がかかる財産」/国税不服審判所ホームページの公表裁決事例(平成18年11月29日裁決)

SECTION 08

受け取る人の定めで分かれる遺産分割の進め方

返還額が確定したら、預貯金や不動産などほかの財産と並べて、財産の一覧に載せます。このとき、返還金について契約書にどう書かれていたかで、遺産分割の話合いでの扱いが分かれます。

契約書に「相続人に支払う」と書かれている場合や、受け取る人の定めがない場合は、ほかの財産と同じように、相続人の間で誰が取得するかを話し合う対象として扱うことが考えられます。施設が支払の手続で求める書類を早めに尋ね、遺産分割の話合いの進み具合と合わせて考えます。

契約書に特定の家族が受け取る人として書かれている場合は、支払の手続は契約の定めに沿って進められますが、そのお金を遺産分割の対象に含めるか、相続税の申告でどう扱うかは、契約の内容と事実関係によって判断が分かれる可能性があります。相続人の間で受け止め方が違うと話合いがまとまりにくくなるため、早い段階で契約書の写しを相続人全員で共有しておくと進めやすくなります。

返還金の振込先を決める前に確かめたいこと

施設から振込先を尋ねられたときに、深く考えずに特定の相続人の口座を伝えると、後から「誰のお金として受け取ったのか」が分かりにくくなることがあります。振込先を伝える前に、契約書の受け取る人の定めと、相続人の間での取り決めを確かめておくと安心です。

参照先:国税庁ホームページの「No.4105 相続税がかかる財産」

SECTION 09

返還金を含めて相続税の申告が必要か確かめる順序

国税庁ホームページの「No.4205 相続税の申告と納税」では、相続税の申告と納税は、相続や遺贈によって取得した財産などの価額の合計額が遺産に係る基礎控除額を超える場合に必要であり、その合計額が遺産に係る基礎控除額の範囲内であれば申告も納税も必要ないと説明されています。

同じページでは、相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内に行うこととされ、相続税の納税もその申告期限までに行うこととされています。申告書の提出先は、被相続人の死亡の時における住所が日本国内にある場合は、被相続人の住所地を所轄する税務署です。

返還額の確定を待つ間に進めておく準備

入居一時金の返還額は、明け渡しや精算の手続を経て決まるため、ほかの財産の金額がそろった後も、しばらく確定しないことがあります。返還金の通知を待つ間も、預貯金の残高証明書や不動産の資料の取寄せは並行して進められます。10か月の期限から逆算すると、返還額の確定を待ってから他の準備を始めるのでは時間が足りなくなるおそれがあるため、確定していない項目は「施設に確認中」と分かるように記録しながら、全体の準備を前に進めてください。

参照先:国税庁ホームページの「No.4205 相続税の申告と納税」

SECTION 10

入居一時金を家族が負担していた場合の分岐

入居一時金を、入居した本人ではなく、配偶者や子が支払っていたという事情がある場合もあります。この場合、返還金が誰のお金として戻ってくるのか、支払った時点で家族の間でどのような取り決めがあったのかによって、考え方がさらに複雑になります。

SECTION 07で触れた裁決事例でも、一時金がほとんど一括して支払われていたことから、負担した割合に応じてそれぞれの金銭債権が構成されているとみる判断が示されています。誰がいくら負担したかという事実が、判断の前提として扱われていることが分かります。

支払った人を示す資料を残しておく

家族が一時金を支払っていた場合は、振込の記録や預金通帳など、誰の口座からいくら支払われたかを示す資料を探しておきます。支払った当時の取り決めについてメモや書面が残っていれば、それも一緒に保管してください。これらの資料をもとに、返還金をどう扱うかを税理士と確かめることになります。

参照先:国税不服審判所ホームページの公表裁決事例(平成18年11月29日裁決)

SECTION 11

返還金の手続で手元にそろえたい書類

ここまでの順序で必要になる書類を、手続の早い順に並べます。すべてがそろっていなくても相談はできますが、手元にある書類が多いほど、返還金の扱いを早く確かめられます。

  1. 01

    入居契約書と重要事項説明書の写し

  2. 02

    入居時に受け取った一時金の算定の基礎を示す書面

  3. 03

    一時金を支払ったときの領収書、振込の記録、預金通帳

  4. 04

    施設から届いた退去と精算の通知、返還額の内訳

  5. 05

    返還金が振り込まれた口座の記録

  6. 06

    預貯金、不動産、保険など、ほかの財産の資料

  7. 07

    家族が一時金を負担していた場合は、その支払と取り決めを示す資料

施設とのやり取りで受け取った書類は、日付の順にまとめておくと、返還額がどのように決まったかを後から説明しやすくなります。ご連絡の際は、宮伸一税理士事務所の問い合わせページからお願いします。

参照先:宮伸一税理士事務所ホームページの「相続税申告・生前の相続税試算」

SECTION 12

まとめ:返還金の扱いは契約書から順に確かめる

有料老人ホームの入居一時金は、名称にかかわらず前払金として扱われ、入居から一定の期間内に入居者の死亡により契約が終了した場合には、前払金から算定した額を控除した額を返還する契約を結ぶことが、老人福祉法で設置者に求められています。返還額の算定方法は、入居から3月以内か、想定した入居期間の途中かで分かれます。

相続人として進める順序は、施設への連絡、契約書での返還金の定めの確認、明け渡しと返還額の確定、財産の一覧への記載、遺産分割での扱いの決定、相続税の申告の要否の判断です。返還金を受け取る人の定めや、一時金を誰が負担したかによって道筋が分かれるため、契約書と支払の記録をそろえたうえで、扱いを税理士と確かめることが大切です。

宮伸一税理士事務所の相続税申告のご相談について

宮伸一税理士事務所では、熊本県内のお客様を対象に、相続税申告と生前の相続税試算のご相談をお受けしており、所長税理士が直接担当します。入居一時金の返還金を含めて財産をどのように整理し、申告が必要かどうかをどう確かめるかは、入居契約書や財産の資料を拝見したうえでご案内します。ご家族が有料老人ホームに入居されていた相続人の方は、相続のページで事務所の対応をご確認ください。

参照先:宮伸一税理士事務所ホームページの「相続税申告・生前の相続税試算」

FAQ

よくある質問

入居者が亡くなった場合も、入居一時金の返還の対象になりますか

はい。e-Gov法令検索に掲載されている「老人福祉法」第29条第10項では、入居した日から一定の期間を経過する日までの間に、入居者の死亡により契約が終了した場合にも返還する旨の契約を締結しなければならないとされています。返還金があるかどうかと金額は、その期間内かどうかと契約の算定方式で決まります。

入居から3月以内に亡くなった場合は、どのように計算されますか

e-Gov法令検索に掲載されている「老人福祉法施行規則」第21条では、家賃等の月額を30で除した額に、入居の日から契約が終了した日までの日数を乗ずる方法とされています。前払金の額からこの額を控除した額が返還の対象になります。

返還金を受け取る人が契約で決められていれば、相続財産にはなりませんか

一律には言えません。受け取る人の定めがある場合の扱いを一般的に示した国税庁ホームページの説明は確かめられなかったため、契約書の文面と一時金を誰が支払ったかの資料をもとに、税理士に確認してください。

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