熊本市での「役員報酬を改定できる時期」について、年間スケジュールの視点から整理します。月別の期限と事前準備を中心に、経理・申告の実務で押さえたいポイントをまとめます。
SECTION 01
役員報酬を変える前に、給与の種類と支給状況を確かめる
役員報酬を見直すときは、まず現在の支払い方を確かめます。毎月の支給額を変えたいのか、決まった時期に別途支払う賞与を考えているのかによって、確認する内容が変わるためです。これまでの支給日と金額を並べ、今回変えたい支払いを具体的にしておくと、予定と実績を取り違えずに済みます。
国税庁ホームページの「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」では、法人が役員に支給する給与のうち、定期同額給与、事前確定届出給与、一定の業績連動給与のいずれにも当たらないものは、損金の額に算入されないとされています。まず今の支払いがどれに当たるかを確かめることが、改定の時期を考える出発点になります。
毎月の報酬と賞与を分けて考える
毎月支払う報酬については、各月の支給額がどう推移しているかを確認します。賞与を考えている場合は、誰に、いつ、いくら支払う予定なのかを毎月の報酬とは別に整理します。支払い方が複数あるなら、一つの「役員報酬の改定」としてまとめず、それぞれの予定を確認することが大切です。
例えば、毎月の報酬を増やす予定と、後日賞与を支払う予定が同時にある会社では、それぞれについて決めた内容と実際の支給を確かめる必要があります。給与の種類の名称だけで税務上の扱いを決めたり、予定した金額の全額を費用として扱えると見込んだりせず、支払い方と金額の両方を確認します。
SECTION 02
通常の改定時期と、期中に認められる改定を分ける
報酬を変えたい理由と時期も、分けて確認します。毎年の見直しとして予定していた変更なのか、年度の途中で生じた事情への対応なのかで、相談時に示すべき経緯が違います。希望する支給開始月だけを先に決めず、会計期間の開始日と、変更を決める予定日を確認してください。
毎月同じ額を支払う定期同額給与の改定は、原則として、事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月(申告期限の延長の指定を受けている場合は、その指定に係る月数に2を加えた月数)を経過する日までに行うものとされています。毎年決まった時期の改定で、その時期より後になることに特別の事情があると認められる場合は、その改定の時期までとされています。
期中の改定では、役員の職制上の地位の変更や職務内容の重大な変更などのやむを得ない事情(臨時改定事由)による改定と、経営状況が著しく悪化したことなどによる減額の改定(業績悪化改定事由)が挙げられています。
参照先(定期同額給与の改定の時期と、臨時改定事由・業績悪化改定事由を確認できます。):国税庁ホームページの「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」
期中の変更では、何が変わったかを具体的にする
期中の変更を考える場合、「仕事が増えた」「業績が悪い」といった短い説明だけでは、変更の理由や時点が伝わりません。職務についての変更なら、誰の担当業務が、いつ、どのように変わったのかを確認します。経営状況を理由に減額を考えるなら、何が起きて、いつから減額を検討したのかを、支給額の変更とは別に整理します。
普段の見直しと期中の事情を混ぜると、どの決定がどの支給に対応するのか分かりにくくなります。過去に変更したことがある会社は、その変更を決めた日と、実際に支給額が変わった月も確認しておくと、今回の予定との違いを説明しやすくなります。特定の日を過ぎたから一律に変更できない、あるいは事情があれば変更額をそのまま費用にできる、と先に結論を出さないことが大切です。
SECTION 03
決算月から総会・改定・支給の予定を組む
年間の予定を考えるときは、決算月から順に、決定する時期と支給する時期を見ます。会社で実際に予定している総会や役員の職務開始時期を確認し、変更後の報酬をいつから支払いたいのかを重ねて考えます。日程を先に一つに固定するのではなく、社内で決まっている日と、まだ調整できる日を分けると検討しやすくなります。
決算月が違えば、確認する月も変わる
相談用の仮例として、3月決算の会社なら、4月以降のどの時期に改定を決め、何月の支給から反映したいかを考えます。12月決算の会社なら、同じように1月以降の決定と支給を確認します。この二つは日程を考えるための例であり、総会開催日や職務開始日、支給日がその月に決まるという意味ではありません。
年間の予定を相談するときに確認したい日付
- 現在の会計期間が始まった日と、決算月
- 報酬の変更を決めた日、または決める予定日
- 対象となる役員の職務開始日と、変更後の報酬を初めて支払う予定日
決定が先でも支給が後になる場合や、検討中に予定が変わる場合があります。そこで、「決める予定」と「支払う予定」を別々に伝え、変更があればその時点で確認し直します。日付だけを合わせれば税務上の扱いが決まるわけではなく、決めた内容と実際の支給も併せて見る必要があります。
SECTION 04
決議内容と実際の支給を確認できる資料をそろえる
改定を決めた内容を後から確かめるには、決議の記録と、実際の支給記録を照らし合わせます。決めた額だけが分かっても、いつから支払う予定だったか、実際にはいつ、いくら支払ったかが分からなければ、予定と実績の違いを確認できません。相談の前には、手元にある記録の種類を確かめてください。
予定を示す記録と、支払いを示す記録
手元で確認したい資料の例
- 決議日や決めた内容を確認できる議事録などの記録
- 改定前後の支給額と、支給を始める予定時期が分かる資料
- 各月の実際の支給日と支給額を確認できる記録
これらは、相談時に決定と支給の関係をたどるための例です。議事録に特定の項目だけを書けば足りる、という意味ではありません。記録を見ても時期や金額が読み取れないときは、分かっている内容と、確認が必要な内容を分けて伝えると、どこから確かめるかを決めやすくなります。
複数の役員について同時に改定を考えている場合は、誰についての決定かを確かめ、各人の支給記録と対応させます。予定した月と実際に支払った月が違うなど、食い違いがあれば、そのままの記録を示してください。差が生じた理由を推測で補うより、当時の連絡や決定の経緯を確認するほうが、次に必要な確認を絞れます。
SECTION 05
賞与を予定する場合は二つの届出期限を比べる
役員への賞与を予定しているなら、毎月の報酬改定とは分けて、決定から支給までの予定を確認します。特に、誰に支払うか、支給予定額と支給予定時期をいつ決めたかが分かるようにしておくと、日程について相談しやすくなります。年度の途中で賞与を追加したい場合も、支給したい月だけで判断しないでください。
事前確定届出給与の届出は、原則として、株主総会等の決議の日(決議の日が職務の執行を開始する日より後なら、その開始の日)から1か月を経過する日と、会計期間開始の日から4か月(申告期限の延長の指定を受けている場合は別の月数)を経過する日のうち、いずれか早い日までに提出するものとされています。新設法人が設立の時に始まる職務について定めをした場合は、設立の日以後2か月を経過する日までです。
参照先(事前確定届出給与の届出の期限を確認できます。):国税庁ホームページの「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」
決定日と職務開始日を先に確かめる
日程を検討する際には、賞与について決めた日、対象役員の職務開始日、会計期間の開始日をそれぞれ確認します。決定が職務開始より前か後かによって確認すべき関係が変わるため、単に「決めてから何か月」とだけ覚えず、実際の日付を示して相談することが大切です。届出を考えている場合は、提出に向けた確認と社内の決定を同時に進められるかも確かめます。
予定を決めた後は、その内容と実際の支給を別々に記録します。届出で示す予定額や時期と、実際に支払った額や日が一致しているかを確認できるようにしておけば、支給後にも経緯をたどれます。予定が変わった場合は、変わった内容だけでなく、いつ、なぜ変えたかも伝えてください。
SECTION 06
業績が悪くなった場合の減額は理由を確かめる
業績を理由に役員報酬を減らしたい場合は、減額したい額より先に、どのような事情が起きているかを確認します。資金の出入りが一時的に厳しいのか、当初の目標に届かなかったのか、経営状況に別の変化があったのかでは、説明すべき内容が違います。「業績が悪い」という言葉だけでひとまとめにしないことが大切です。
国税庁ホームページの「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」では、経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由による改定は、定期給与の額を減額する改定に限って挙げられています。どのような事情がこれに当たるかは、会社の状況を伝えて個別に確認してください。
減額を考え始めた経緯をたどる
例えば、支払いが集中する月だけ資金繰りが厳しい場合と、継続して経営上の問題に直面している場合では、まず確かめたい資料が異なります。いつ状況を把握し、役員報酬の減額を検討し始めたのか、社内でどのように決めたのかを確認してください。目標未達だけを理由に、希望する減額が税務上どのように扱われるかを決めつけないようにします。
減額の相談時に伝えたいこと
- 減額を考えるきっかけになった出来事と、その時期
- 現在の支給額、変更したい額、変更を始めたい時期
- 経営状況を確認できる手元の資料と、まだ確認できていない事項
減額をすでに始めている場合は、検討時の予定と実際に支払った額を分けて示します。まだ決めていない場合は、希望額を確定事項として扱わず、判断に必要な事情を先に確かめるとよいでしょう。一時的な資金繰りや単なる目標未達を、経営状況の著しい悪化と同じものとして扱わないことが重要です。
SECTION 07
役員報酬の改定について相談する際の準備
役員報酬の改定を相談するときは、「いつから、誰の報酬を、いくらにしたいか」と、そう考えた理由を伝えるところから始められます。すでに決めた改定なのか、これから検討する案なのかも分けておくと、確認する資料と順序を整理しやすくなります。決算月と現在の支給状況が分かれば、年間の予定と照らし合わせて話を進められます。
手元にある記録から確認する
相談前に手元で確かめたい資料
- 決算書と、現在の会計期間が分かる資料
- 過去の決議内容と、これまでの役員報酬の支給記録
- 職務に変更がある場合は、その内容と時期が分かる記録
- 改定後に予定する支給額と、支給を始めたい時期
すべての資料が一度にそろわなくても、手元にあるものと、これから確認するものを分けて知らせてください。例えば、支給額は分かるが決議日が確認できていないなら、その状態のまま伝えれば、まず過去の決定を確認する必要があるかを話し合えます。職務変更や経営状況の変化が理由なら、改定額だけでなく、その経緯も併せて伝えると確認の対象が明確になります。
税務上の支給内容の確認と、会社の決議が有効かどうかの判断は分けて考えます。まずは手元の記録と改定案を示し、何から確認するかを事務所と一緒に整理してください。ご連絡の際は、宮伸一税理士事務所の問い合わせページからお願いします。
FAQ
よくある質問
Q役員報酬は、事業年度の途中でいつでも変えられますか?
A
毎月同じ額を支払う定期同額給与の改定は、原則として会計期間開始の日から3か月(申告期限の延長の指定を受けた場合は、指定に係る月数に2を加えた月数)を経過する日までに行うものとされています。毎年決まった時期の改定で、その時期より後になることに特別の事情があると認められる場合は、その改定の時期までとされています。これ以外の期中の改定は、職務内容の重大な変更などの臨時改定事由や、経営状況の著しい悪化による減額など、国税庁ホームページの「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」に挙げられた場合に限られます。
Q役員に賞与を出したいときは、何に気を付けますか?
A
事前確定届出給与として支給する場合は、所定の時期と確定した額を定め、株主総会等の決議の日(決議の日が職務の執行を開始する日より後なら、その開始の日)から1か月を経過する日と、会計期間開始の日から4か月(申告期限の延長の特例の指定を受けている場合は別の月数)を経過する日のいずれか早い日までに届出をすることが原則です。決議の日と職務開始の日を手元の記録で確かめてからご相談ください。
Q相談の前に何を用意すればよいですか?
A
決算書と会計期間が分かる資料、これまでの決議の内容と支給記録、改定後に予定する支給額と開始時期をご用意ください。そろっていない資料は、そのままお知らせいただければ、何から確認するかを一緒に整理します。
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