熊本市にお住まいのご家族が亡くなられ、障害のある方が財産を取得したとき、「相続税の障害者控除はいくらになるのか」と気になることがあります。国税庁ホームページの「No.4167 障害者の税額控除」は、相続人が85歳未満の障害者である場合に、相続税額から一定額を差し引く制度を説明しています。ただし、年齢だけで対象や控除額は決まりません。
財産を取得した時点の住所と障害の状況、法定相続人に当たるかを確認したうえで、障害の区分と満85歳までの年数から控除額を考えます。本人の相続税額から引き切れない場合や、以前の相続で控除を受けた場合には、さらに確認が必要です。金額だけを先に確定せず、それぞれの条件を分けて見ていきましょう。
SECTION 01
熊本市に住んでいれば障害者控除を受けられる?
熊本市にお住まいのご家族が亡くなられた後、障害のある方が財産を取得しても、熊本市に住んでいるという理由だけで相続税の障害者控除を受けられるわけではありません。これは熊本市独自の控除ではなく、対象条件を満たす方の相続税額から一定額を差し引く制度です。85歳未満という年齢だけでなく、財産を取得したときの状況も確認します。
住所は財産を取得したときの状況を確認
住所については、相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所があることが条件です。ただし、一時居住者で、亡くなった方が外国人被相続人または非居住被相続人に当たる場合は対象から除かれます。現在の住所や熊本市での居住歴だけでは、この条件と例外のどちらに当たるかは決まりません。
まず財産を取得した時点の住所を確認し、一時居住者に関する例外が関係しそうな場合は、亡くなった方の状況も含めて個別に確かめる必要があります。住所の条件を確認できても、それだけで控除の対象と結論づけず、次に障害の状況を確認する時点を見ていきます。
参照先(控除の対象年齢と、相続税額から差し引く制度であることを確かめる。/財産取得時の住所要件と例外を確かめる。):国税庁ホームページの「No.4167 障害者の税額控除」
SECTION 02
障害の状況はいつを基準に確認する?
相続税の障害者控除では、障害の状況を「今どうか」だけで判断しません。条件として確認するのは、相続や遺贈によって財産を取得したときに、その取得した方が障害者であったかどうかです。現在の状況を先に聞いていても、確認すべき時点を取り違えると、控除の対象かどうかの判断につながりません。
現在の状況と取得時点の状況を分ける
ご家族が把握している現在の状況と、財産を取得したときの状況は分けて整理してください。取得時点の状況が分からない場合は、現在の状況からさかのぼって決めつけず、その時点について確認できる情報を確かめます。手帳の種類だけを見て対象かどうかを自動的に決めたり、ここで医学的な判定をしたりすることはできません。
障害の状況を確認する時点が定まっても、財産を取得したという事実だけで控除の対象になるわけではありません。次は、その取得した方について、相続税の障害者控除が求める法定相続人の条件を確認します。
参照先(障害の状況を確認する時点を確かめる。):国税庁ホームページの「No.4167 障害者の税額控除」
SECTION 03
財産を受け取った人なら誰でも対象になる?
いいえ、相続や遺贈で財産を受け取った方が全員、障害者控除の対象になるわけではありません。相続税の障害者控除には、財産を取得した方が法定相続人であるという条件があります。「財産を受け取ったか」と「この控除で求められる法定相続人に当たるか」は、同じ問いとして扱わずに確認します。
相続放棄がある場合の控除上の扱い
相続放棄があった場合、この控除の対象条件を確認するときは、放棄がなかったものとした場合における相続人かどうかで判定します。放棄したという事実だけで、この控除の条件から直ちに外れると決めるのは適切ではありません。一方、これは相続税の障害者控除における判定の扱いであり、相続放棄後の民法上の地位一般を説明するものではありません。
財産を取得した方と亡くなった方の関係、相続放棄の有無を分けて確認すると、どの条件について判断が残っているか見えやすくなります。この条件を確認した後に、障害の区分に応じた控除額の計算へ進みます。
参照先(障害者控除における法定相続人の条件と相続放棄時の扱いを確かめる。):国税庁ホームページの「No.4167 障害者の税額控除」
SECTION 04
一般障害者の控除額はどう求める?
一般障害者に該当する場合、障害者控除額は満85歳になるまでの年数について、1年につき10万円で計算します。まず一般障害者に該当するかを確認し、そのうえで満85歳になるまでの年数を求める順序です。年当たりの金額だけを見て、個々の方の控除額を先に決めることはできません。
1年未満の期間は切り上げる
満85歳になるまでの年数を計算するとき、1年未満の期間があれば切り上げて1年として扱います。端数の期間を切り捨てたり、月ごとの金額に置き換えたりせず、年数を確かめてから1年につき10万円を当てはめます。具体的な年齢を仮定した金額ではなく、その方について確認した年数で計算することが大切です。
一般障害者として計算する場合の年数と金額が分かっても、障害の区分が未確認なら、その結果を本人の控除額として確定させることはできません。特別障害者に該当する場合は年当たりの金額が異なるため、区分の確認を先に行います。
参照先(一般障害者の年当たりの金額と端数年数の扱いを確かめる。):国税庁ホームページの「No.4167 障害者の税額控除」
SECTION 05
特別障害者なら年当たりの金額は変わる?
特別障害者に該当する場合、障害者控除額を計算する際の年当たりの金額は20万円です。一般障害者の場合の1年につき10万円とは異なります。どちらの金額を用いるかは、障害に関する名称やご家族の印象だけから推定せず、その方の区分を確認したうえで判断します。
区分と年数を分けて確かめる
先に確認するのは一般障害者と特別障害者のどちらに該当するかであり、その後に年当たりの金額を選びます。一般障害者について説明した満85歳までの年数と1年未満の期間の切り上げを、年当たり10万円という金額と一体のものとして取り違えないようにします。特別障害者の場合に異なるのは、ここで用いる年当たりの金額です。
区分が確認できていない段階では、10万円と20万円のどちらかを仮に選んで、その方の控除額とすることは避けます。区分と計算に用いる年数を確認して控除額を求めたら、次はその額を相続税の計算上どこで差し引くかを見ます。
参照先(一般障害者の年当たりの金額と端数年数の扱いを確かめる。/特別障害者に用いる年当たりの金額を確かめる。):国税庁ホームページの「No.4167 障害者の税額控除」
SECTION 06
計算した控除額は相続税額のどこから引く?
障害者控除は、相続税の計算上、対象となる方の相続税額から差し引く税額控除です。満85歳までの年数と障害の区分を使って求めた控除額を、取得した財産の額から直接差し引くものとして考えると、計算する段階を取り違えます。控除額が分かったことと、最終的な納付税額が分かったことも別です。
各人ごとの税額を計算した後に差し引く
相続税の総額を財産を取得した各人の課税価格に応じて割り振り、各人ごとの相続税額を計算した後、税額控除額を差し引いて各人の納付税額を求めます。ただし、亡くなった方との関係によっては、税額控除を差し引く前に相続税額への加算があります。そのため、障害者控除額だけを見て最終的な税額を断定することはできません。
確認するときは、控除額の計算結果と、差し引く前の本人の相続税額を分けて捉えます。さらに、税額への加算が関係するかどうかを確認してから差し引く順序を考えると、年当たりの控除額や税率だけを手掛かりに納付税額を逆算する誤解を避けられます。
参照先(控除の対象年齢と、相続税額から差し引く制度であることを確かめる。):国税庁ホームページの「No.4167 障害者の税額控除」
参照先(相続税額の計算で税額控除を差し引く段階を確かめる。):国税庁ホームページの「No.4152 相続税の計算」
SECTION 07
受け取った財産に税率を掛ければ本人の税額が分かる?
相続税の障害者控除を考えるとき、本人が受け取った財産に相続税の税率を掛けて、控除前の税額を出すことはできません。取得した財産の金額と本人の相続税額を同じものとして扱うと、控除額と何を比べるべきかが分からなくなります。
税率を使う段階と、控除を差し引く段階は別
相続税額を計算する際、税率表を各人が実際に取得した財産へ直接当てはめるわけではありません。国税庁ホームページの「No.4155 相続税の税率」では、相続税の税率は各人が実際に取得した財産に直接掛けるものではないと説明されています。財産の取得額だけを見て「本人の税額はこの程度」と見積もらず、税額を計算する段階を分けて考える必要があります。
各人ごとの相続税額を求めた後、その税額から税額控除を差し引くのが納付税額の計算です。国税庁ホームページの「No.4152 相続税の計算」では、相続税額の計算で税額控除を差し引く段階を確認できます。被相続人との関係によっては控除前に相続税額への加算もあるため、ここでは本人の具体的な納付額を決められません。まず控除と比較する本人の相続税額を確認し、その額から控除しきれるかを見る順序です。
参照先(相続税額の計算で税額控除を差し引く段階を確かめる。):国税庁ホームページの「No.4152 相続税の計算」
参照先(実際に取得した財産への税率の直接適用と、相続税の税率計算を区別する。):国税庁ホームページの「No.4155 相続税の税率」
SECTION 08
本人の相続税額から控除しきれない場合は?
障害者控除額が本人の相続税額を上回り、本人の税額から全額を引き切れない場合は、引き切れない部分をその障害者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。本人の税額が控除額より小さいからといって、残りの扱いを本人の税額だけで判断するものではありません。
扶養義務者には、配偶者、直系血族、兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の人が含まれます。ただし、親族であれば誰の税額からでも差し引けると決めず、今回の相続で誰が該当するかを個別に確認します。例えば本人の控除額だけが分かっていても、本人から引き切れない額と、扶養義務者の相続税額から差し引ける額は確定できません。
確認する際は、本人の控除額と相続税額を比べて引き切れない部分があるかを先に見ます。そのうえで、扶養義務者に当たる人と、その人の相続税額を確かめる順序になります。親族関係だけから差し引ける金額まで決めず、国税庁ホームページの「No.4167 障害者の税額控除」で扱いを確認してください。
参照先(本人から引き切れない控除額の扱いを確かめる。):国税庁ホームページの「No.4167 障害者の税額控除」
SECTION 09
以前の相続でも控除を受けていたら?
今回の相続以前にも本人が障害者控除を受けていると、今回の控除額が制限されることがあります。満85歳になるまでの年数から求めた額を、そのまま今回の控除額として扱う前に、以前の相続で控除を受けたかどうかを確認する必要があります。
以前に家族の相続があったことと、本人がその相続で障害者控除を受けたことは同じではありません。「前にも相続があったはず」という記憶だけで控除済みと決めず、反対に、覚えていないから未使用とも決めないことが大切です。以前の適用状況を確認できない間は、今回の控除額を満額と断定せず、確認待ちの点として残しておきます。
過去に受けていた場合でも、制限の有無や今回の金額を、過去に相続があったという事実だけから決めることはできません。いつの相続で本人が控除を受けたか、確認できている範囲を整理してから今回の金額を検討します。過去の控除歴が今回の計算に関わることは、国税庁ホームページの「No.4167 障害者の税額控除」で確認できます。
参照先(過去の控除歴が今回の控除額に影響し得ることを確かめる。):国税庁ホームページの「No.4167 障害者の税額控除」
SECTION 10
相談前に、どの事実を先に確かめる?
財産を取得した時点の事実を中心に確認する
熊本市にお住まいのご家族が亡くなられた後、障害のある方が財産を取得しても、現在の住所や年齢だけで障害者控除の対象とは決まりません。相続税額からの控除を考えるには、85歳未満かどうかに加え、相続や遺贈で財産を取得したときの状況を確かめます。まずは、分かっている事実と、本人に確認が必要な点を分けてください。
先に確かめたい点は次のとおりです。
- 財産を取得したときの年齢と、日本国内に住所があったかどうか。一時居住者で、被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合は、住所要件の例外も確認します。
- 財産を取得したときに障害者であったかどうか。現在の状況だけで、取得時点の状況を決めません。
- 財産を取得した本人が、障害者控除の条件となる法定相続人に当たるかどうか。相続放棄がある場合は、放棄がなかったものとした場合の相続人として確認します。
- 今回より前の相続で、本人が障害者控除を受けていたかどうか。
住所の例外や過去の控除歴など、すぐに確かめられない点は推測で埋めず、何を誰に確認するかを記録しておくと相談時に伝えやすくなります。ここで整理するのは障害者控除の対象条件と過去の適用状況です。個々の方が条件を満たすかどうかは、確認待ちの点も踏まえて判断します。対象条件は国税庁ホームページの「No.4167 障害者の税額控除」で確かめられます。
参照先(控除の対象年齢と、相続税額から差し引く制度であることを確かめる。/財産取得時の住所要件と例外を確かめる。/障害の状況を確認する時点を確かめる。/障害者控除における法定相続人の条件と相続放棄時の扱いを確かめる。/過去の控除歴が今回の控除額に影響し得ることを確かめる。):国税庁ホームページの「No.4167 障害者の税額控除」
SECTION 11
熊本県内で障害者控除と相続税申告を相談するには?
熊本市にお住まいの方が、障害のあるご家族の相続税について相談する際は、確認できた事実と、まだ確認できていない点を分けて伝えると、何から確かめるかを一緒に整理しやすくなります。対象条件、控除額、本人の相続税額のうち、どこで判断に迷っているかもお知らせください。分からないことを推測して結論にする必要はありません。
宮伸一税理士事務所は、熊本県内を対象地域とし、相続税申告と生前の相続税試算を扱うと案内しています。また、所長税理士が直接対応する方針です。今回の相続については、手元で確認できた情報を伝え、障害者控除の対象条件や税額のどこから確認するかを相談できます。個別案件への対応や控除の適用が、相談だけで決まるわけではありません。
熊本県内の方も、申告準備について案内できる範囲は、個別の事情を伝えたうえで確認してください。ご連絡の際は、宮伸一税理士事務所の問い合わせページからお願いします。
参照先(相談できる業務の範囲を確かめる。/相談時の担当方針を確かめる。):宮伸一税理士事務所ホームページの「相続税申告・生前の相続税試算」
SECTION 12
控除額だけで結論を出さないために
障害者控除は、年齢から計算した金額だけで結論を出せません。最初に、財産を取得したときの住所と障害の状況、本人が法定相続人に当たるかを確かめます。日本国内に住所がある場合でも、一時居住者で、被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人に当たるときは例外があるため、住所だけで対象と決めない順序が大切です。相続放棄があった場合は、放棄がなかったものとした場合の相続人として確認します。
対象条件の次に、控除額と差し引く先を確認
対象条件を確認したうえで、一般障害者なら満85歳までの年数1年につき10万円、特別障害者なら1年につき20万円を用いて控除額を考えます。一般障害者の年数に1年未満の期間があるときは、切り上げて1年として計算します。ただし、個々の方がどちらの区分に当たるかを先に確認しなければ、年当たりの金額は選べません。
次に、控除額が本人の相続税額を上回るかを確かめます。全額を引き切れなければ、その部分を扶養義務者の相続税額から差し引く扱いですが、誰が該当し、いくら差し引けるかは個別に確認が必要です。以前の相続で本人が障害者控除を受けていれば今回の控除額が制限されることもあります。対象条件、区分、過去の控除歴と差し引く先を順に確認し、個別の適用可否や相続税申告の要否を控除額だけで決めないようにします。
参照先(財産取得時の住所要件と例外を確かめる。/障害の状況を確認する時点を確かめる。/障害者控除における法定相続人の条件と相続放棄時の扱いを確かめる。/一般障害者の年当たりの金額と端数年数の扱いを確かめる。/特別障害者に用いる年当たりの金額を確かめる。/本人から引き切れない控除額の扱いを確かめる。/過去の控除歴が今回の控除額に影響し得ることを確かめる。):国税庁ホームページの「No.4167 障害者の税額控除」
FAQ
よくある質問
相続放棄をした人がいる場合、その人は障害者控除の対象から必ず外れますか?
いいえ。相続税の障害者控除では、法定相続人に当たるかを、相続放棄がなかったものとした場合の相続人として判定します。ただし、財産取得時の住所や障害の状況なども条件になるため、財産を取得した事実と併せて確認してください。
控除額が本人の相続税額を超えた分は、そこで使えなくなりますか?
いいえ。本人の相続税額から全額を引き切れない場合、その引き切れない部分は障害者である方の扶養義務者の相続税額から差し引きます。誰が扶養義務者に当たるかと、それぞれの相続税額を確認してください。
前回の相続で障害者控除を受けていても、今回の額を初回と同じように計算できますか?
現時点では判断できません。以前の相続でも障害者控除を受けていると、今回の控除額が制限されることがあります。過去に控除を受けたかどうかと、その内容を確認してから今回の金額を検討してください。
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宮伸一税理士事務所