熊本県内にお住まいのご家族が亡くなられ、解約返戻金のある保険契約が見つかったとき、「保険証券に書かれた金額をそのまま相続税の計算に使うのか」と迷うことがあります。まず確かめたいのは、相続開始時にその契約で保険事故が発生していたかどうかです。保険事故がまだ発生していない生命保険契約に関する権利には、その時点で解約するとした場合の金額を基にする評価方法があります。
解約返戻金だけでなく、返還される前納保険料や剰余金、該当する源泉徴収税額によって評価額が変わる場合があります。金額が分からなければ契約先の保険会社などに余裕をもって照会し、確認できた金額と確認待ちの項目を分けておきましょう。評価額を確かめる段階と、相続税額を計算する段階も区別して考えることが大切です。
SECTION 01
解約返戻金のある契約は、何から確かめる?
ご家族が亡くなられ、解約返戻金のある生命保険契約が見つかったときは、返戻金の記載だけで相続税の計算に用いる評価額を決めないことが大切です。まず確かめたいのは、亡くなられた時点、つまり相続開始時に、その契約で保険事故がまだ発生していなかったかどうかです。
契約の存在と、保険事故の状況を分けて確認
相続開始時に保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利なら、その時点で契約を解約するとした場合に支払われる解約返戻金額が評価の基礎になります。一方、解約返戻金があるという情報だけでは、この条件に当てはまるかは分かりません。契約を見つけた段階と、評価の対象として扱えることを確認した段階を分けて考えます。
手元に契約の情報があっても、相続開始時に保険事故が発生していたかが分からなければ、評価額を置く前にその状況を確認します。ここで確かめるのは、返戻金がいくらあるかではなく、まずどの時点のどの契約について、この評価方法を考えるのかという入口です。対象になると確認できてから、相続開始時に解約するとした場合の金額へ進みます。
参照先(相続開始時に保険事故が発生していない契約の評価基準を確認できます。):国税庁ホームページの「No.4660 生命保険契約に関する権利の評価」
SECTION 02
解約返戻金は、いつの金額を基準にする?
相続開始時に保険事故がまだ発生していない生命保険契約に関する権利では、基準になるのは、相続開始時に契約を解約するとした場合に支払われる解約返戻金額です。今になって解約するといくら受け取れるかという見込みと、亡くなられた時点の金額を取り違えないようにします。
「亡くなられた時点で解約したら」と考える
実際に契約を解約したかどうかを尋ねているのではありません。相続税の計算に用いるこの権利の価額について、相続開始時に解約するとした場合の支払額を確かめる、という意味です。契約に示された返戻金の数字を見つけても、その数字がいつの時点を示すものかを確かめてから評価の基礎にします。
例えば、手元で確認できる金額が現在の受取見込額だけなら、それを相続開始時の解約返戻金額と同じものとして扱うことはできません。相続開始時の額がまだ分からないときは、その時点の金額を確認する項目として残します。また、解約返戻金だけで評価額が確定するとは限りません。別に支払われる金額や、該当する控除額がある場合は、その確認も必要になります。
参照先(相続開始時に保険事故が発生していない契約の評価基準を確認できます。):国税庁ホームページの「No.4660 生命保険契約に関する権利の評価」
SECTION 03
前納保険料が戻る契約では何を加える?
解約返戻金とは別に、前納保険料が支払われる場合は、その金額を評価額に加えます。ここで見るのは、保険料を前もって納めたことがあるかだけではありません。解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料があるか、あるならいくらか、という点です。
前納した事実だけで加算を決めない
前納保険料という言葉が契約の情報に出てきても、別に支払われる金額を確認せずに加算額を決めることはできません。反対に、解約返戻金の額だけを確認して終えると、別に支払われる前納保険料を見落とすおそれがあります。返戻金と前納保険料を同じ金額として扱わず、それぞれについて支払われる額を確かめます。
相続開始時の契約について金額を整理するときは、前納保険料が解約返戻金とは別に支払われるかを先に確かめ、該当する場合にその額を確認します。支払いの有無が分からない段階では、加算するとも、加算しないとも決めつけず、確認待ちの項目として残すと判断の前提が明確になります。
参照先(返還される前納保険料を評価額に加える条件を確認できます。):国税庁ホームページの「No.4660 生命保険契約に関する権利の評価」
SECTION 04
剰余金の分配があるとき、評価額はどう変わる?
解約返戻金のほかに剰余金の分配額が支払われる場合は、その分配額も評価額に加えます。確認したいのは、契約に剰余金に関する記載があるかという一点だけではなく、解約返戻金とは別に分配額が支払われることとなるか、その金額はいくらかという点です。
別に支払われる分配額かを見極める
解約返戻金として確認した金額と、剰余金の分配額として確認した金額を混同すると、加算すべきものがあるのか判断しにくくなります。剰余金の分配額が解約返戻金のほかに支払われる契約なら、その額を別に確かめて加算します。別払いの有無が分からなければ、金額を推測して足さずに確認を待ちます。
契約について尋ねる際は、剰余金の分配があるかだけでなく、解約返戻金とは別に支払われる分配額があるかを確認すると、評価に反映する対象を絞れます。分配額が支払われる場合と、そうでない場合を分けて考えることが重要です。加算額を確認した後も、それだけで最終的な評価額を決めず、該当する控除額の有無を確かめます。
参照先(剰余金の分配額を評価額に加える条件を確認できます。):国税庁ホームページの「No.4660 生命保険契約に関する権利の評価」
SECTION 05
源泉徴収される税額は、どんな場合に差し引く?
評価額から差し引く税額相当額は、どの契約にも一律に設けられるものではありません。解約返戻金の額について源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合に、その金額を差し引きます。この所得税相当額には、該当する復興特別所得税の額に相当する金額も含めて考えます。
差し引く前に、対象と金額を確認する
ここでの判断対象は、解約返戻金について源泉徴収されるべき税額の相当額です。税額らしい記載を見つけたというだけで差し引くのではなく、その金額が解約返戻金に係るものかを確かめます。また、所得税相当額を確認するときは、復興特別所得税相当額が含まれる点も見落とさないようにします。
該当する金額がなければ、この控除は生じません。有無や金額がまだ分からない場合には、先に差し引いたものとして評価額を決めず、解約返戻金について源泉徴収されるべき額があるかを確認する項目として残します。加算する金額の確認と同様に、差し引く金額も契約ごとの情報に照らして判断します。
参照先(評価時に差し引く源泉徴収税額相当額の条件を確認できます。):国税庁ホームページの「No.4660 生命保険契約に関する権利の評価」
SECTION 06
共済契約にも同じ評価方法を使う?
手元に共済契約が見つかったときも、名称だけで生命保険契約と同じ評価方法を使うと決めることはできません。この評価でいう生命保険契約には、生命保険契約に類する共済契約のうち一定のものが含まれます。共済契約であればすべて含まれる、という扱いではないためです。
「共済」という名称だけで対象にしない
生命保険に似た契約を探していると、生命保険契約とは別に共済契約が見つかることがあります。その場合は、生命保険契約に類する共済契約であるかに加え、この評価の対象となる一定のものに当たるかを確かめます。似ているという印象だけで対象と決めると、確認すべき適用範囲を飛ばしてしまいます。
共済契約の情報を整理する際は、生命保険契約と同じものとして直ちに金額を当てはめるのではなく、まず契約の内容を確認することが出発点です。対象に当たるか分からなければ、その判断を保留し、確認が必要な契約として区別しておきます。同じ「共済」の名が付いていても一律には扱わない、という順序を押さえておくと、評価対象の取り違えを防げます。
参照先(類する共済契約が評価対象に含まれる範囲を確認できます。):国税庁ホームページの「No.4660 生命保険契約に関する権利の評価」
SECTION 07
掛捨保険で解約返戻金がなければ評価する?
いわゆる掛捨保険でも、名称だけで評価の扱いは決められません。解約返戻金がない掛捨保険は、生命保険契約に関する権利として評価しない扱いです。掛捨と呼んでいることと、解約返戻金がないことは、分けて確認してください。
掛捨という呼び名と、返戻金の有無を分ける
確認したいのは、その契約が「いわゆる掛捨保険で解約返戻金のないもの」に当たるかどうかです。家族の間で掛捨保険と呼んでいても、解約返戻金の有無を確かめないまま、評価しない契約だと結論付けることは避けます。
参照先(解約返戻金のない掛捨保険の評価上の扱いを確認できます。):国税庁ホームページの「No.4660 生命保険契約に関する権利の評価」
SECTION 08
解約返戻金相当額が分からないときの確認先は?
解約返戻金相当額が分からないときは、手元にある金額から推測せず、契約先の生命保険会社などに照会して確認します。契約について分かっていることと、まだ金額を確認できていないことを分けておけば、未確認の数字を評価額として扱わずに済みます。
分からない金額は契約先に確かめる
確認したいのは、解約返戻金相当額です。手元の情報だけではその額が分からない場合、契約先の生命保険会社などへの照会が確認方法になります。回答を得るまでは、金額を確定したものとして扱わず、照会中であることを区別してください。
参照先(解約返戻金相当額が不明な場合の確認先を確かめられます。):国税庁ホームページの「No.4660 生命保険契約に関する権利の評価」
SECTION 09
保険会社への照会は、いつ始める?
生命保険会社などへ照会する場合は、あらかじめ時間的な余裕をもって始める必要があります。回答を待ってから金額を確かめる場面では、確認したい時点になって初めて照会すると、必要な金額がまだ分からないままになるためです。
回答を待つ時間を見込んで照会する
契約先への照会を予定しているなら、確認したい金額について早めに問い合わせておきます。回答時期を決め付けるのではなく、照会してから回答を受けるまでに時間が必要なものとして、余裕を見込むことが大切です。
参照先(保険会社などへの照会に時間的な余裕が必要なことを確認できます。):国税庁ホームページの「No.4660 生命保険契約に関する権利の評価」
SECTION 10
保険契約の評価額が分かれば、相続税額も決まる?
いいえ。保険契約の評価額が分かっても、それだけで相続税額は決まりません。相続税の一般的な計算では、相続や遺贈などによって財産を取得した人ごとに課税価格を計算します。契約の金額を確認することと、取得者ごとに課税価格を求めることは別の段階です。
契約の評価と取得者ごとの計算は別
例えば、契約について確認した金額が手元にあっても、誰がその契約に関する権利を取得したかが分からなければ、その人の課税価格について結論は出せません。取得者は推測で決めず、確認待ちの事実として扱います。国税庁ホームページの「No.4152 相続税の計算」では、取得した人ごとの課税価格から相続税額を計算する基本の流れを確認できます。
参照先(各人の課税価格から相続税額を計算する基本の流れを確認できます。):国税庁ホームページの「No.4152 相続税の計算」
SECTION 11
解約返戻金に相続税の税率を直接掛ける?
いいえ。相続税額を算出する際、実際に取得した個々の保険契約の評価額に、相続税の税率を直接掛けるわけではありません。まず相続や遺贈などによって財産を取得した人ごとに課税価格を計算する段階があります。契約の評価額だけを取り出して税率を掛けても、相続税額の計算にはなりません。
税率を掛けるのは法定相続分に応ずる取得金額
相続税の総額を求める際は、正味の遺産額から基礎控除額を差し引いた課税遺産総額を、法定相続分であん分します。その「法定相続分に応ずる取得金額」に税率を掛けます。これは、ある人が実際に取得した保険契約の評価額とは異なる金額です。法定相続分に応ずる取得金額に適用する税率と控除額は、国税庁ホームページの「No.4155 相続税の税率」の速算表で確認できます。
参照先(各人の課税価格から相続税額を計算する基本の流れを確認できます。):国税庁ホームページの「No.4152 相続税の計算」
参照先(実際に取得した財産へ税率を直接掛けない計算方法と、法定相続分に応ずる取得金額に適用する税率と控除額を確認できます。):国税庁ホームページの「No.4155 相続税の税率」
SECTION 12
熊本県内で保険契約の評価を相談するとき、何を伝える?
熊本県内でご家族が亡くなられ、解約返戻金のある生命保険契約の評価について相談する際は、まず相続開始時に保険事故が発生していたか、確認できていることをお伝えください。まだ分からない場合は、その点を確認待ちとして伝えます。保険事故がまだ発生していない契約に関する権利は、相続開始時に解約するとした場合に支払われる解約返戻金額を基に評価しますが、個別の契約がこの条件に当たるかは別途確認が必要です。
判明した金額と確認待ちのことを分けて伝える
解約返戻金相当額について契約先の生命保険会社などから回答があれば、その内容を知らせてください。まだ分からなければ照会中であることを伝え、前納保険料や剰余金などの加算額、該当する源泉徴収税額、権利の取得者も、確認できたことと確認待ちのことを分けて整理します。金額が分かっただけで、個別の権利の取得者や相続税申告の要否まで確定したものとはしません。
宮伸一税理士事務所は、熊本県内を対象に相続税申告と生前の相続税試算を扱い、所長税理士が直接対応します。お手元で確認できている契約の状態や金額を知らせていただき、何から確かめるかを一緒に整理できます。個別の案件をお引き受けできるかどうかは、内容を確認したうえでのご案内となります。ご連絡の際は、宮伸一税理士事務所の問い合わせページからお願いします。
参照先(相続開始時に保険事故が発生していない契約の評価基準を確認できます。/解約返戻金相当額が不明な場合の確認先を確かめられます。):国税庁ホームページの「No.4660 生命保険契約に関する権利の評価」
FAQ
よくある質問
死亡後に届いた保険会社の案内に返戻金額がなければ、手元の金額で見積もってよいですか?
いいえ。解約返戻金相当額が分からないときは、契約先の生命保険会社などに照会して確認します。相続開始時に保険事故が発生していない契約かも確かめ、照会には時間的な余裕をみてください。
解約返戻金が分かれば、前納保険料や剰余金は見なくてもよいですか?
いいえ。解約返戻金のほかに前納保険料の返還や剰余金の分配がある場合は、その金額も評価に加えます。契約先への確認では、それぞれ支払われる金額があるかを分けて確かめてください。
解約返戻金のない掛捨保険にも、この権利の評価額を付けますか?
いいえ。いわゆる掛捨保険で解約返戻金のないものは、生命保険契約に関する権利として評価しません。まず契約先に返戻金の有無を確認し、保険事故が発生している場合の取扱いとは分けて考えてください。
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