本記事の消費税制度の説明は、国税庁ホームページの「No.6604 相続で事業を引き継いだ場合の簡易課税制度選択届出書の提出について」(令和8年4月1日現在の法令等)の記載に基づきます。実際の届出前に、最新の取扱いを所轄税務署等で確認してください。熊本市にお住まいのご家族が亡くなられ、事業を引き継いだ方は、故人が簡易課税制度を選んでいたなら自分にもその届出が引き継がれるのか、気になるかもしれません。消費税では、被相続人が提出した届出書の効力は、事業を承継した相続人には及びません。相続人が簡易課税制度の適用を受けようとする場合は、自分の届出を確認する必要があります。
最初に、故人の事業の全部または一部を継続するために財産を引き継いだか、自分の事業歴はどうかを確かめましょう。
SECTION 01
熊本市で事業を引き継いだとき、最初に何を確かめる?
熊本市にお住まいのご家族が亡くなられ、事業を引き継いだとき、消費税簡易課税制度選択届出書を誰が提出するかは、事業の所在地だけでは決まりません。まず、誰が亡くなった方の事業を続けているのかを確かめます。この届出の相続時の取扱いは、免税事業者である相続人が、相続により被相続人の事業を承継した場合を対象としています。
引き継いだ財産と、続ける事業を分けて確かめる
家族で事業に関わっていた人と、相続によって事業用の財産を引き継いだ人が同じとは限りません。亡くなった方が行っていた事業のうち、誰がどの部分を続けるために財産を承継したのかを確認すると、届出を考える人を絞れます。財産を受け取ったという事実だけで結論を出さず、事業を続ける目的とのつながりを見ます。
参照先(消費税の届出について、対象となる相続人を確認できます。/消費税の届出で対象となる事業承継の意味を確認できます。):国税庁ホームページの「No.6604 相続で事業を引き継いだ場合の簡易課税制度選択届出書の提出について」
SECTION 02
財産を引き継ぐだけで、事業の承継に当たる?
財産を相続しただけで、この消費税の届出でいう「事業の承継」に当たるとはいえません。ここでいう承継は、亡くなった方が行っていた事業の全部または一部を続けるために、相続によって財産の全部または一部を引き継いだ場合です。事業と財産の両方について、何を引き継ぎ、何を続けるのかを確かめる必要があります。
事業の一部を続ける場合も確認する
亡くなった方の事業をすべて引き継いでいなければ対象外、という意味ではありません。続けるのが事業の一部でも、そのために財産の一部を相続により承継したなら、この説明でいう事業の承継に含まれます。一方、財産の承継と事業の継続との関係が分からない段階では、財産を取得した人をそのまま事業の承継者と決めず、実際に続ける事業を確認します。
参照先(消費税の届出で対象となる事業承継の意味を確認できます。):国税庁ホームページの「No.6604 相続で事業を引き継いだ場合の簡易課税制度選択届出書の提出について」
SECTION 03
故人の簡易課税制度選択届出書をそのまま使える?
いいえ。亡くなった方が提出していた消費税簡易課税制度選択届出書の効力は、その事業を相続により承継した相続人には及びません。故人の届出書が残っていても、相続人自身の届出書として使えるわけではありません。
事業を承継した相続人が簡易課税制度の適用を受けようとするときは、相続人が新たに届出書を提出する必要があります。故人が提出済みかどうかの確認と、相続人自身が選択するかどうかの判断は分けて考えてください。新たな提出を考える際には、その相続人が以前から事業を営んでいたかどうかも確かめます。
参照先(故人が提出した届出書の効力が相続人に及ぶか確認できます。/相続人自身による新たな届出が必要となる場面を確認できます。):国税庁ホームページの「No.6604 相続で事業を引き継いだ場合の簡易課税制度選択届出書の提出について」
SECTION 04
誰が相続人に当たり、事業歴はどう届出の分岐に関わる?
最初に相続人に当たるかを確かめ、次に、その人の事業歴を確かめます。相続人の範囲については、亡くなった人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人には相続人となる順位があります。ただし、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされ、内縁関係の人は相続人に含まれません。相続人の範囲は国税庁ホームページの「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」で確認できます。
相続人の確認と、消費税の提出条件は別の判断
消費税の届出については、相続があった日の属する年の基準期間に事業を行っていなかった人も、相続人として説明の対象に含まれます。ただし、「基準期間に事業を行っていない」ことだけで、相続時に事業を営んでいなかったと決めることはできません。相続時に事業を営んでいたかを別に確かめます。消費税の届出の分岐は、国税庁ホームページの「No.6604 相続で事業を引き継いだ場合の簡易課税制度選択届出書の提出について」で確認できます。
事業を営んでいなかった相続人が承継を機に新たに始めた場合と、既に事業を営む相続人が承継した場合では、確認する条件が異なります。後者について、相続日を含む課税期間からの選択を考えるなら、故人が簡易課税制度の適用を受けていたかに加え、故人の基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるため相続人が消費税の納税義務者となったかを確かめます。相続人であるというだけで、どちらの提出時期にも当てはめないことが大切です。
参照先(基準期間に事業を行っていなかった相続人の扱いを確認できます。/事業を新たに開始した相続人の提出時期を確認できます。/既に事業を営む相続人に示された条件と提出時期を確認できます。):国税庁ホームページの「No.6604 相続で事業を引き継いだ場合の簡易課税制度選択届出書の提出について」
参照先(配偶者とそれ以外の人が相続人になる際の範囲を確認できます。):国税庁ホームページの「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」
SECTION 05
新たに事業を始めた相続人は、いつ届け出る?
相続前には事業を営んでおらず、亡くなった方の事業を相続により承継して新たに始めた相続人については、事業を始めた日が判断の起点です。その開始日を含む課税期間から簡易課税制度を選択する場合、届出書をその課税期間中に提出すれば、その課税期間から選択できます。相続があった日と、実際に事業を始めた日を同じ日と決めつけず、まず開始日を確かめます。
課税期間の末日と提出方法も確認する
提出時期を確認するときは、事業開始日を含む課税期間の末日を確かめてください。末日が日曜日などの休日に当たっても、その日までに提出がなければ適用を受けられません。郵便または信書便で提出した場合は、通信日付印の日に提出されたものとみなされます。
また、課税期間の末日前おおむね1か月以内の相続によって、相続人が新たに届出書を提出できる個人事業者となった場合には、所轄税務署長の承認を受けると、届出書がその課税期間の末日に提出されたものとみなされる取扱いがあります。相続日と課税期間の末日が近い場合は、この条件と承認の有無も分けて確認します。
参照先(事業を新たに開始した相続人の提出時期を確認できます。):国税庁ホームページの「No.6604 相続で事業を引き継いだ場合の簡易課税制度選択届出書の提出について」
SECTION 06
既に事業を営む相続人は、何を満たすと相続した課税期間に選択できる?
既に事業を営んでいた相続人には、新たに事業を始めた相続人とは異なる条件が示されています。相続した課税期間からの選択を考える場合は、亡くなった方の事業を承継したことに加え、故人が簡易課税制度の適用を受けていたことを確かめます。相続人自身に事業歴があるというだけでは、この取扱いには当てはめられません。
故人の課税売上高と、相続人の納税義務を確認する
さらに、亡くなった方の基準期間における課税売上高が1,000万円を超えるため、相続人が消費税の納税義務者となった場合であることが条件です。令和8年4月1日時点の同資料では、この条件を満たし、相続のあった日を含む課税期間から簡易課税制度を選択するなら、相続日の属する課税期間中に届出書を提出すれば、その課税期間から選択できます。
その課税期間の末日が日曜日などの休日でも、原則としてその日までの提出が必要です。郵便・信書便では通信日付印の日に提出されたものとみなされます。また、末日前おおむね1か月以内の相続によって新たに届出書を提出できる個人事業者となり、所轄税務署長の承認を受けた場合には、末日に提出されたものとみなされる取扱いがあります。
参照先(既に事業を営む相続人に示された条件と提出時期を確認できます。):国税庁ホームページの「No.6604 相続で事業を引き継いだ場合の簡易課税制度選択届出書の提出について」
SECTION 07
課税期間の末日が休日なら、提出日は延びる?
いいえ。国税庁ホームページの「No.6604 相続で事業を引き継いだ場合の簡易課税制度選択届出書の提出について」の注3がかかる届出では、課税期間の末日が日曜日等の国民の休日等に当たっても、その日までに提出がなければ、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けられません。休日の翌日を提出日として考えず、まず自分に当てはまる課税期間の末日を確かめてください。
提出方法も併せて確認
末日が休日等に当たるかどうかだけでなく、届出書をどの方法で出すかも確認が必要です。郵便または信書便で提出する場合には通信日付印による別の取扱いがあるため、提出日を確認する際はその方法も伝えられるようにしておきます。
参照先(課税期間の末日が休日等に当たる場合の提出日を確認できます。):国税庁ホームページの「No.6604 相続で事業を引き継いだ場合の簡易課税制度選択届出書の提出について」
SECTION 08
郵便・信書便で出した届出書は、いつ提出したことになる?
消費税簡易課税制度選択届出書を郵便または信書便で提出した場合は、郵便物または信書便物の通信日付印に表示された日に提出されたものとみなされます。投函した日や届出書が届いた日を、通信日付印の日付と確認せずに同じものとして扱わないでください。
課税期間の末日を基準に提出日を確かめるときも、郵便・信書便なら確認するのは通信日付印の日付です。末日近くに送る場合は、発送したつもりの日付だけで判断せず、提出方法と通信日付印に表示された日を確認してください。この取扱いは郵便または信書便による提出についてのものであり、ほかの提出方法の日付まで同じと決めるものではありません。
参照先(郵便または信書便で届け出たときの提出日の扱いを確認できます。):国税庁ホームページの「No.6604 相続で事業を引き継いだ場合の簡易課税制度選択届出書の提出について」
SECTION 09
課税期間の末日近くに相続が起きたら、どの条件を確かめる?
課税期間の末日近くに相続が起きたというだけでは、届出書の提出日が末日とみなされるわけではありません。国税庁ホームページの「No.6604 相続で事業を引き継いだ場合の簡易課税制度選択届出書の提出について」の注4では、相続の時期に加え、その相続によって相続人が新たに届出書を提出できる個人事業者になったこと、所轄税務署長の承認を受けたことを条件としています。
時期・事業者となった経緯・承認を分けて確認
末日に提出されたものとみなされる取扱いについては、次の点を確認します。
- 相続が、その課税期間の末日前おおむね1か月以内にあったか。
- その相続によって、新たに簡易課税制度選択届出書を提出できる個人事業者になったか。
- 所轄税務署長の承認を受けたか。
これらの条件を満たし、承認を受けた場合に、届出書はその課税期間の末日に提出されたものとみなされます。相続日が末日に近いことだけを理由に承認済みとして扱わず、自分の状況と承認の有無を区別して確かめてください。
参照先(課税期間の末日近くに相続があった場合の承認条件を確認できます。):国税庁ホームページの「No.6604 相続で事業を引き継いだ場合の簡易課税制度選択届出書の提出について」
SECTION 10
簡易課税の届出と相続税申告は、同じ確認で済む?
いいえ。簡易課税制度選択届出書は消費税の届出、相続税申告は相続税の手続です。税目別に分けて考えます。国税庁ホームページの「No.6604 相続で事業を引き継いだ場合の簡易課税制度選択届出書の提出について」は、免税事業者である相続人が、相続により被相続人の事業を承継した場合の届出を説明しています。消費税の届出条件を確かめる際は、相続税の申告資料をその根拠として代用しないでください。
相続税の資料は対象年を確かめる
相続税申告を別途調べる場合、国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」には、相続税の申告と納付の項目が掲載されています。この資料は令和8年4月1日現在の法令等に基づき、原則として令和8年中に亡くなった人に係る相続税申告を説明するものです。亡くなった年と資料の対象年を確かめ、消費税の届出日とは別に確認してください。
参照先(消費税の届出について、対象となる相続人を確認できます。):国税庁ホームページの「No.6604 相続で事業を引き継いだ場合の簡易課税制度選択届出書の提出について」
参照先(相続税の申告と納付について調べる項目を確認できます。/相続税の説明資料が対象とする死亡年と法令の時点を確認できます。):国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた」
SECTION 11
簡易課税制度選択届出の相談では、どの事実を伝える?
簡易課税制度選択届出について相談するときは、まず亡くなった方の事業の全部または一部を、誰が継続しているかを伝えます。ここでいう事業の承継は、その事業を継続するために、相続によって財産の全部または一部を承継した場合です。事業の名称だけでなく、継続している内容と承継した財産について、分かっている事実を知らせてください。
事業歴によって確認する条件が変わる
従前は事業を営まず、承継後に新たに開始した相続人なら、実際の事業開始日と、その日を含む課税期間を伝えます。その課税期間から選択する場合の提出時期を確認するためです。一方、既に事業を営んでいた相続人なら、被相続人が簡易課税制度の適用を受けていたか、被相続人の基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるため自分が消費税の納税義務者となったか、相続日を含む課税期間も確認が必要です。
熊本県内を対象とする宮伸一税理士事務所の取扱領域には、相続税申告と法人・個人事業主の顧問などが含まれます。相談の際は、相続日、事業開始日、自分の事業歴、被相続人の適用状況、確認できている課税期間を知らせ、消費税の届出について何から確かめるかをご相談いただけます。個別の届出への対応可否や選択の結論は、これらの情報を確認する前に確約できません。
参照先(消費税の届出で対象となる事業承継の意味を確認できます。/事業を新たに開始した相続人の提出時期を確認できます。/既に事業を営む相続人に示された条件と提出時期を確認できます。):国税庁ホームページの「No.6604 相続で事業を引き継いだ場合の簡易課税制度選択届出書の提出について」
SECTION 12
提出前に、どの順序で条件を見直す?
提出前には、まず誰が被相続人の事業の全部または一部を継続するために、相続によって財産の全部または一部を承継したのかを確かめます。事業を承継した相続人に、被相続人が提出した届出書の効力は及びません。相続人自身が簡易課税制度の適用を受けようとするときは、新たな届出書について、自分に該当する提出時期を確認します。
事業歴から提出時期を選び、末日を確認
判断の順序は次のとおりです。
- 従前事業を営まず、承継して新たに始めた場合は、開始日を含む課税期間から選択するか確かめます。選択するなら、その課税期間中の提出が条件です。
- 既に事業を営んでいた場合は、被相続人が簡易課税制度の適用を受けていたことに加え、被相続人の基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるため自分が消費税の納税義務者となったかを確かめます。そのうえで、相続日を含む課税期間から選択するなら、その課税期間中の提出を確認します。
- 該当する課税期間の末日が休日等でも、その日までの提出が必要です。末日前おおむね1か月以内の相続に関する取扱いは、相続によって新たに届出書を提出できる個人事業者となり、所轄税務署長の承認を受けた場合に限って確認します。
新たに事業を始めた場合と、既に事業を営んでいた場合とでは、確かめる条件が異なります。相続日や事業開始日、課税期間の末日など確認できた情報を基に、どちらの場合に当たるかを確かめてから届出について相談してください。
参照先(故人が提出した届出書の効力が相続人に及ぶか確認できます。/消費税の届出で対象となる事業承継の意味を確認できます。/事業を新たに開始した相続人の提出時期を確認できます。/既に事業を営む相続人に示された条件と提出時期を確認できます。/課税期間の末日が休日等に当たる場合の提出日を確認できます。/課税期間の末日近くに相続があった場合の承認条件を確認できます。):国税庁ホームページの「No.6604 相続で事業を引き継いだ場合の簡易課税制度選択届出書の提出について」
FAQ
よくある質問
故人の簡易課税制度選択届出書が見つかれば、自分の届出は不要ですか?
いいえ。被相続人が提出した届出書の効力は、事業を承継した相続人には及びません。自分が簡易課税制度の適用を受けようとする場合は、事業をどう承継したかを確かめたうえで、新たな届出の提出時期を確認してください。
相続前に事業をしていなければ、相続日の属する課税期間を基準に提出時期を決められますか?
いいえ。事業を営んでいなかった相続人が、承継によって新たに事業を始め、その開始日を含む課税期間から選択する場合は、事業開始日を含む課税期間中の提出が示されています。実際に事業を開始した日と課税期間の末日を確認してください。
課税期間の末日近くに相続があった場合、承認なしで提出日を末日とみなせますか?
いいえ。末日前おおむね1か月以内の相続によって新たに届出書を提出できる個人事業者となり、所轄税務署長の承認を受けた場合に、末日に提出されたものとみなされます。相続日、課税期間の末日、自分が届出できる個人事業者となった経緯を確かめてください。
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