熊本市にお住まいのご家族が亡くなられ、相続した土地を使う予定がないとき、「国に引き取ってもらえるのか」が気になるかもしれません。相続土地国庫帰属制度は、相続などで土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たす場合に利用できる制度です。土地を相続したというだけで、国庫への帰属が決まるわけではありません。
まず、誰がどのように土地の所有権を取得したかを確かめ、次に土地ごとの条件と手続を確認します。一方、相続税申告の要否は、国庫帰属の検討とは分けて判断する必要があります。この記事では二つの手続が交わる場面を整理し、土地を手放す見込みや税務上の結論を早い段階で決めつけないための確認順を示します。
SECTION 01
使わない土地なら、まず何を確かめる?
利用しない理由と制度の条件を分ける
熊本市にお住まいのご家族が亡くなられ、相続した土地を今後使う予定がないとき、「国に引き渡せないか」と考えるかもしれません。ただし、利用予定がないことだけで国庫帰属の可否は決まりません。相続土地国庫帰属制度では、土地を取得した人と取得の経緯に加え、一定の要件を満たすかを分けて考える必要があります。
まず、ご自身がその土地の所有権をどのように取得したのかを確かめてください。使い道に困っているという事情は、制度を調べ始めるきっかけにはなりますが、制度の対象に当たることを示すものではありません。取得経緯を押さえたうえで、土地について確認すべき条件へ進むと、二つの問いを混同せずに済みます。
参照先(土地を取得した人と取得経緯が制度の対象に当たるか確かめる。/土地の取得だけで国庫帰属が決まるのではなく、要件の確認が必要なことを確かめる。):法務省ホームページの「相続土地国庫帰属制度について」
SECTION 02
土地の所有権を取得したのは誰か
取得した人と取得の経緯を見る
相続土地国庫帰属制度の対象となるのは、相続または遺贈によって土地の所有権を取得した相続人です。亡くなった方が土地を持っていたというだけでなく、制度を利用したい人自身が、その土地の所有権を取得したかを確認することが出発点になります。
ここでいう遺贈は、遺言によって特定の相続人に財産の一部または全部を譲る場合です。遺言に土地が書かれている場合も、誰に譲る内容なのかを読み取り、取得者が相続人であるという制度上の前提と分けずに確かめます。「相続した土地」という日常的な言い方だけで取得経緯を決めず、誰がどの土地の所有権を取得したのかを明らかにしてから、土地の条件を調べましょう。
参照先(土地を取得した人と取得経緯が制度の対象に当たるか確かめる。):法務省ホームページの「相続土地国庫帰属制度について」
SECTION 03
相続しただけで土地を国に引き渡せる?
対象となる人でも、土地の確認は残る
いいえ。相続によって土地の所有権を取得した相続人でも、それだけで土地を国に引き渡せるわけではありません。相続土地国庫帰属制度は、対象となる相続人が一定の要件を満たした場合に、土地を国庫に帰属させることを可能にする制度です。取得経緯の確認は入口であり、国庫帰属が可能かという結論とは別です。
例えば、利用予定がない土地について、取得者が制度の対象に当たりそうだと分かっても、そこで確認を終えることはできません。個別の土地が要件を満たすかは、その土地の事情を踏まえて別に確かめる必要があります。この段階では「対象となる相続人か」と「その土地が要件を満たすか」を区別し、後者について結論を急がないことが大切です。
参照先(土地の取得だけで国庫帰属が決まるのではなく、要件の確認が必要なことを確かめる。):法務省ホームページの「相続土地国庫帰属制度について」
SECTION 04
申請を考える前に案内の更新をどこで見る?
更新のお知らせと手引きの本文は別に確認する
申請を考えるときは、法務省ホームページの「相続土地国庫帰属制度について」で更新のお知らせを確認できます。同ページには、申請の手引きを補訂したことが掲載されています。以前に保存した案内を手元に置いている場合は、それだけを前提に進めず、手引きに更新があることを踏まえて確認し直してください。
ただし、「補訂しました」というお知らせから、どの説明がどう変わったかまでは読み取れません。補訂の事実を知ることと、補訂後の申請方法を把握することは別です。実際に申請を検討する際は手引き本文を別途確認し、古い案内の内容をそのまま現在の方法と見なさないようにしましょう。
参照先(申請の手引きに更新情報があることを確かめる。):法務省ホームページの「相続土地国庫帰属制度について」
SECTION 05
国庫帰属の検討と相続税申告は同じ判断?
土地の条件と税務の判定は別の問い
土地を国へ引き渡せるかと、相続税申告が必要かは、同じ判断ではありません。相続土地国庫帰属制度では、対象となる相続人が一定の要件を満たすかを確認します。一方、国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」は、相続財産の金額などを入力し、相続税申告の要否をおおよそ判定するものです。
土地を使わないからといって、どちらかの結論を先に決めることはできません。判定コーナーに入力して得た結果は相続税申告についての目安であり、その土地が国庫帰属の要件を満たすという判断には使えません。土地については取得経緯と要件を、税務については入力する相続財産の金額などを、それぞれの目的に沿って確認してください。
参照先(土地の取得だけで国庫帰属が決まるのではなく、要件の確認が必要なことを確かめる。):法務省ホームページの「相続土地国庫帰属制度について」
参照先(入力結果で相続税申告の要否をどこまで確認できるか確かめる。):国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」
SECTION 06
申告要否判定コーナーで分かる範囲は?
判定結果と申告書作成を混同しない
国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」で分かるのは、入力した相続財産の金額などに基づく、相続税申告の要否のおおよその判定です。手元の情報を入力して結果を見たとしても、それだけで個別の相続について申告要否が確定したものとは扱わず、何を入力したかと併せて結果を確認してください。
このコーナーでは相続税の申告書は作成できません。「判定を試すこと」と「申告書を作ること」は別の作業です。利用を始める前に、まず判定の対象となる情報を確認し、結果を見る際には入力内容を振り返りましょう。土地を国に引き渡せるかについても、この判定結果ではなく、土地の制度の条件として別に確かめる必要があります。
参照先(入力結果で相続税申告の要否をどこまで確認できるか確かめる。/申告要否の判定と申告書の作成が別であることを確かめる。):国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」
SECTION 07
判定を始める前に利用対象を確かめられる?
入力を始める前に、利用案内を確認
国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」には、判定を始める前の案内として「ご利用になれない方」という項目があります。熊本市にお住まいのご家族が亡くなられ、土地について相続税申告の要否を調べようとしている場合も、まずこの項目を確認してください。判定を利用できるか確かめないまま、入力結果を自分の相続に当てはめないことが大切です。
「ご利用になれない方」という項目があることと、誰が利用できないかをここで判断できることは別です。具体的な範囲はこの案内項目の存在だけからは分からないため、ご自身の状況に該当するかは項目の内容を読んで確かめてください。利用対象に疑問が残るときは、その疑問を残したまま判定結果だけで相続税申告の要否を決めず、申告について確認する際に併せて伝えるとよいでしょう。
参照先(判定を始める前に利用対象を確認できる案内があることを確かめる。):国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」
SECTION 08
申告の説明資料は相続の年に合っている?
亡くなられた年と資料の対象年を照らし合わせる
相続税申告の説明を読むときは、資料の発行年だけでなく、誰の相続を対象にしているかを確認します。国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた」に掲載されている令和8年分用は、原則として令和8年1月1日から12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税申告についての説明です。手元の相続で亡くなられた年と、資料が対象とする年を先に照らし合わせてください。
令和8年分用の説明は、令和8年4月1日現在の法令等に基づいて作成されています。したがって、別の年に亡くなられた方の相続について、令和8年分用の記載をそのまま申告の進め方として当てはめることは避けます。資料を開く際に対象年と作成基準日を確かめておけば、目の前の相続について読むべき説明かを判断しやすくなります。
参照先(申告の進め方を確認するための資料が掲載されていることを確かめる。/手元の相続の開始年と資料の対象年が合うか確かめる。):国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた」
SECTION 09
おおよその判定の後、申告の進め方はどこで確認する?
判定と申告書の作成は別の確認
判定を終えた後は、入力内容と照合したい点を整理してから、前節で示した申告の説明資料へ進みます。入力した金額や財産の範囲で迷った点をメモに残し、資料を読んでも判断できない事項は、土地を取得した経緯とともに税理士へ伝えてください。
参照先(申告要否の判定と申告書の作成が別であることを確かめる。):国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」
参照先(申告の進め方を確認するための資料が掲載されていることを確かめる。):国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた」
SECTION 10
土地の相続税評価では何を分けて考える?
評価上の区分と評価単位を確認する
土地について相続税の計算に用いる評価を考える場面では、まず評価上の区分と評価単位を分けて捉えます。国税庁ホームページの「財産評価」には、土地の評価上の区分と評価単位が、それぞれ項目として掲載されています。土地を一つ所有していると聞いただけで、評価上どのように扱うかまで決めるのではなく、これらが別の確認事項であることを押さえておきます。
ただし、項目が掲載されていることは、相続した個別の土地の評価額が分かったことを意味しません。土地について分かっている状況を踏まえた評価の確認が必要であり、この項目の一覧だけから金額を決めることはできません。また、ここで扱うのは相続税に関する土地の評価です。国へ土地を引き渡せるかという承認条件や、相続税申告の一般的な進め方を判断するための項目として読み替えないでください。
参照先(相続税に関する土地の評価で、区分と評価単位を確認する。):国税庁ホームページの「財産評価」
SECTION 11
土地の相続税評価を相談するとき、何を伝える?
取得経緯と利用状況を伝え、税務上の評価を相談する
熊本市にお住まいのご家族が亡くなられ、利用予定のない土地を相続した場合は、土地をどのような経緯で取得したか、現在どのように利用しているかについて、分かっていることを伝えてください。分からない点は推測で補わず、確認待ちの内容として分けておくと、何から確かめるかを相談しやすくなります。国へ引き渡すことを考えている土地であっても、相続税申告上の評価は別に相談する事項です。
宮伸一税理士事務所は相続税申告に対応し、相続税申告サービスで不動産の評価を扱っています。相談の際は、土地について確認済みの取得経緯と利用状況を知らせ、相続税申告上の評価や申告について、何を先に確認するかを一緒に整理できます。個別の対応内容は相談時に確認してください。ここでいう評価は税務上のもので、土地の国庫帰属が承認されるかどうかを事務所が判断するという意味ではありません。
参照先(土地について相談できる相続税申告上の評価業務を確かめる。):宮伸一税理士事務所ホームページの「相続税申告・生前の相続税試算」
SECTION 12
土地の手続と相続税申告を誰に確認する?
国庫帰属の条件と相続税申告は、それぞれ確認する
土地を国へ引き渡す制度については、法務省ホームページの「相続土地国庫帰属制度について」で、まず取得経緯と制度の対象を確かめます。この制度は、相続又は遺言によって特定の相続人に財産を譲る遺贈により、土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たす場合に土地を国庫に帰属させられるものです。土地を相続しただけで引き渡しが決まるわけではなく、個別の土地が要件を満たすかは別途確認が必要です。
一方、相続税申告の要否や申告上の取扱いは、土地を国へ引き渡せるかという問題とは分けて考えます。宮伸一税理士事務所は相続税申告を扱っていますので、相談する際は亡くなられた方との関係、土地の取得経緯と利用状況について、確認できたことを知らせてください。個別にどこまで対応できるかを確認しながら、相続税申告について何から確かめるかを整理できます。
同事務所は、相続登記などの不動産手続について外部専門家を紹介すると案内しています。ただし、これは相続土地国庫帰属制度の申請代行や、そのための専門家の紹介を約束する案内ではありません。土地の帰属に関する条件の確認先と、相続税申告についての相談先を分けて考えましょう。ご連絡の際は、宮伸一税理士事務所の問い合わせページからお願いします。
参照先(土地の取得だけで国庫帰属が決まるのではなく、要件の確認が必要なことを確かめる。):法務省ホームページの「相続土地国庫帰属制度について」
参照先(相続登記などの不動産手続と事務所の税務業務との役割の違いを確かめる。):宮伸一税理士事務所ホームページの「相続税申告・生前の相続税試算」
FAQ
よくある質問
相続した土地を使う予定がなければ、国に引き取ってもらえますか?
現時点では判断できません。相続などによって土地の所有権を取得した相続人が一定の要件を満たす場合の制度なので、まず取得経緯を確かめ、土地ごとの条件は法務省ホームページの「相続土地国庫帰属制度について」から確認してください。
相続税の申告要否判定コーナーで、申告書まで作れますか?
いいえ。国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」は入力内容から申告のおおよその要否を判定するもので、申告書は作成できません。申告の進め方を調べる際は、相続の年に合う国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた」を確認してください。
国庫帰属を検討中の土地の相続税申告や評価について、税理士に相談できますか?
はい。不動産の評価を含む相続税申告についてご相談いただけます。土地を取得した経緯と分かっている状況を伝え、相続税申告の要否や評価について確認してください。国庫帰属の承認可否は、税務上の評価とは分けて確かめる必要があります。
運営者
宮伸一税理士事務所