熊本県内にお住まいのご家族が亡くなられ、土地を相続した方の中には、登記に書かれた地目と、実際の使われ方が違うように見える方もいるでしょう。相続税の土地評価では、地目を課税時期の現況によって判定します。まず、その時点で土地がどのように使われていたかを確かめることが出発点です。
その後、複数の地目の土地が一体として使われていたか、どこまでを一つの単位として評価するかを検討します。土地一筆ごとに結論を急がず、現況と利用のまとまりを順に見ていくと、税理士に確認したい点も明確になります。相続税申告の要否は、土地の地目だけで決めず、ほかの財産や遺産分割の内容も踏まえて確認してください。
SECTION 01
相続した土地の地目は、いつの状態で確かめる?
相続税の土地評価で地目を判定する基準は、課税時期の現況です。相続した土地をいま見に行っても、そこで確認できるのは現在の状態です。相続開始後に使われ方や見た目が変わっている可能性があるため、まず対象の土地について、課税時期とその当時の利用状況を分けて確かめます。
登記上の地目と実際の利用が違うと感じたときも、登記の名称だけで評価上の地目を決めず、当時その土地がどのような状態にあったかを確認することが出発点です。当時の利用状況がはっきりしない部分は、現在の様子から推測して埋めず、確認が必要な点として残しておきます。基準となる時点をそろえてから、地目の候補を検討します。
参照先(土地の地目を判定する時点と基準を確認する。):国税庁ホームページの「財産評価基本通達 第1節 通則(土地の評価上の区分・地目)」
SECTION 02
現況に合う地目の候補をどう絞る?
地目の名称と、実際の利用を照らし合わせる
相続税の土地評価では、土地の価額は原則として地目の別に評価します。国税庁ホームページの「財産評価基本通達 第1節 通則(土地の評価上の区分・地目)」が挙げる地目は、宅地、田、畑、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地、雑種地です。ただし、この名称の中から見た目の印象だけで一つを選んでも、対象の土地の現況地目が確定するわけではありません。
評価上の地目判定は不動産登記事務取扱手続準則の定めに準じますが、通達には独自の対応関係もあります。例えば、評価上の山林には同準則の保安林を含める定めがあります。登記に記された名称と評価上の区分を単純に同一視せず、課税時期の実際の利用と、通達での扱いを照らし合わせて候補を絞ります。
参照先(地目ごとに評価する原則を確認する。/土地評価で用いる地目の区分を確認する。/評価上の地目判定と登記上の区分との対応を確認する。):国税庁ホームページの「財産評価基本通達 第1節 通則(土地の評価上の区分・地目)」
SECTION 03
複数の地目の土地を一体で使っていたら?
地目の違いより先に、一体利用の範囲を確かめる
地目が二つ以上に分かれる土地でも、一団の土地として一体的に利用されていた場合には、相続税評価上、そのうちの主たる地目からなるものとして一団ごとに評価します。地目の異なる土地が並んでいるというだけでは、この扱いに当たるとは決められません。対象の土地をどこまで一団と見るか、課税時期にどのように利用されていたかを確かめる必要があります。
例えば、複数の地目が記されている土地を確認するときは、名称ごとに区切って考える前に、実際の利用が一体だった範囲を確認します。そのうえで、一団に含める土地と、そこで主たる地目に当たるものを個別に検討します。通達には一定の地域で隣接する特定の土地を一団として評価する別の定めもあるため、隣接していることだけから結論を出さないことが大切です。
参照先(複数の地目を一体利用する土地の評価上の扱いを確認する。):国税庁ホームページの「財産評価基本通達 第1節 通則(土地の評価上の区分・地目)」
SECTION 04
宅地は登記上一筆ごとに評価する?
宅地では「一画地」と登記の筆数を分けて考える
課税時期の現況地目が宅地であれば、相続税評価では「一画地の宅地」を評価単位とします。一画地とは、利用の単位となっている一区画の宅地のことです。登記上の一筆をそのまま一つの評価単位とするとは限らないため、まず宅地として使われていた範囲に目を向けます。
二筆以上の宅地が一画地となる場合も、一筆の宅地が二画地以上として利用される場合もあります。登記で筆が分かれている土地なら、筆ごとの名称や数だけを見て区切らず、利用の単位を確認します。反対に、一筆だから全体を一画地と決めることもできません。対象の宅地でどこまでが一区画として利用されていたかは、個別の状況に即して判断します。
参照先(宅地をどの利用範囲で評価するか確認する。/宅地の評価単位と登記上の筆数が一致しない場合を確認する。):国税庁ホームページの「財産評価基本通達 第1節 通則(土地の評価上の区分・地目)」
SECTION 05
農地が続いているとき、どこまでを一つと見る?
農地は「一枚」と、種類による一団単位を区別する
課税時期の現況地目が農地である土地について、相続税評価上の単位は原則として「一枚の農地」です。これは耕作の単位となっている一区画を指します。農地が続いて見える場合でも、連続している部分をすべて一つと決めるのではなく、まずどこまでが耕作の一区画だったかを確認します。
一方、市街地周辺農地、市街地農地、生産緑地については、それぞれ利用の単位となっている一団の農地を評価単位とする定めがあります。対象の土地がこれらのどれに該当するかを確認しないまま、原則の「一枚」を当てはめたり、続いている農地をまとめたりはできません。農地としての現況を押さえたうえで、その種類と利用範囲を順に確かめます。
参照先(農地の種類によって評価単位がどう変わるか確認する。):国税庁ホームページの「財産評価基本通達 第1節 通則(土地の評価上の区分・地目)」
SECTION 06
山林の評価単位はどう考える?
山林と判断した後に、一筆の範囲を確認する
課税時期の現況から、相続税評価上の地目が山林と判断される土地では、原則として一筆の山林を評価単位とします。山林が隣り合って見える場合でも、その見た目だけで複数の筆を一つの単位とするのではありません。まず現況地目を確認し、山林に当たる土地について、一筆ごとの範囲を確かめる順序になります。
ここでいう一筆は、土地課税台帳または土地補充課税台帳に登録された一筆です。登記上の地目が山林と記されているかどうかだけで評価単位の検討を始めず、課税時期に山林だったかという判断を先に置きます。対象の土地ごとの現況地目や範囲が確認できていない段階では、具体的な評価単位を確定したものとして扱わないことが大切です。
参照先(山林の評価単位を確認する。):国税庁ホームページの「財産評価基本通達 第1節 通則(土地の評価上の区分・地目)」
SECTION 07
雑種地は利用目的のまとまりをどう確かめる?
雑種地については、まず相続税評価上の現況地目が雑種地に当たるかを確かめます。雑種地の評価単位は、原則として同一の目的に供されている一団の土地です。登記上の筆が分かれているという理由だけで評価する範囲を区切らず、対象の土地がどの範囲で同じ目的に利用されているかを見ます。
同じ目的で使う範囲と、地域による別の定め
隣り合う土地がある場合も、隣接していることだけで一団と決めるのではなく、それぞれの利用目的と利用のまとまりを確認します。利用されていない一団の雑種地については、その全体を利用の単位となっている一団として扱う旨も通達に示されています。土地ごとに利用状況を確かめた上で、どこまでを一つの評価単位として考えるかを検討することが大切です。
ただし、市街化調整区域以外の都市計画区域で市街地的形態を形成する地域では、宅地と状況が類似する雑種地について別の定めがあります。複数の評価単位が一団となり、形状、面積の大小、位置などから一団で評価することが合理的と認められる場合が対象です。対象の土地がこの地域条件と土地の条件を満たすかは、個別に確認する必要があります。
参照先(雑種地の利用目的と評価単位の関係を確認する。):国税庁ホームページの「財産評価基本通達 第1節 通則(土地の評価上の区分・地目)」
SECTION 08
土地の面積はどの時点のものを使う?
地目と評価単位を確認した後は、相続税評価に用いる土地の面積を確かめます。評価に用いる地積は、課税時期における実際の面積によります。ここでいう面積の基準は、どの土地を評価するかという単位とは別の問題です。評価する範囲を整理できても、その範囲の実際の面積まで確定したことにはなりません。
面積が分からない土地をどう扱うか
手元に面積を記した情報があっても、それが課税時期の実際の面積と一致するかは、この情報だけでは判断できません。特に隣接地との境界や利用する範囲がはっきりしない土地では、どの範囲の面積を確認したいのかも明らかにしておきたいところです。対象の土地について実際の面積が未確認なら、数値を確定したものとして扱わず、確認待ちの事項として分けておきます。
面積を確かめる際は、対象となる土地と、確認できている面積の情報が何を指すのかを対応させて考えます。課税時期の実際の面積がまだ分からない段階では、評価に用いる地積や評価額を断定できません。地目、評価する範囲、面積のうち何が確かめられているかを区別することが、次に必要な確認を見つける手がかりになります。
参照先(土地評価で用いる面積の基準時点を確認する。):国税庁ホームページの「財産評価基本通達 第1節 通則(土地の評価上の区分・地目)」
SECTION 09
現況地目が分かれば相続税申告の要否も決まる?
いいえ、土地の現況地目が分かっても、それだけで相続税申告の要否は決まりません。地目は土地を評価するための確認事項であり、地目だけでは申告の要否を判断できません。国税庁ホームページの「No.4152 相続税の計算」に沿って確認する課税価格は、取得した財産の価額そのものではなく、非課税財産の除外や控除・加算など、相続税の計算上の調整をした金額です。取得した人ごとの課税価格を合計した「課税価格の合計額(正味の遺産額)」を把握し、遺産に係る基礎控除額との比較を踏まえて申告の要否を検討します。
財産等の合計額と基礎控除額を比べる
国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」は、相続財産等の合計額が遺産に係る基礎控除額(法定相続人の数によって決まります。)を超える場合に、相続税の申告が必要となると案内しています。一方、超えない場合でも、遺産分割の内容によって申告が必要となる場合があります。
土地の評価額や土地以外の取得財産、遺産分割の内容が分からなければ、対象の相続について結論は出せません。申告の説明や提出する主な書類を確認する場合、国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」は、原則として令和8年中に亡くなった方に係る相続を対象とする資料です。対象年を確かめて利用し、掲載された案内だけで個別の書類の要否まで決めないようにします。
参照先(相続税申告の要否を考える際の比較関係と例外を確認する。):国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」
参照先(相続税申告の説明と提出する主な書類の掲載箇所を確認する。):国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」
SECTION 10
申告要否判定コーナーの結果をどう受け止める?
国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」は、相続財産の金額などを入力し、相続税申告のおおよその要否を確かめるためのものです。利用する前に、入力する金額が何に基づくものかを確認します。土地の評価額やほかの財産の金額が分からないままでは、入力結果を個別の判断として受け止めることはできません。
判定結果と申告の準備は別に考える
判定コーナーの結果は、おおよその申告要否を示すもので、相続税の申告書を作成するものではありません。結果を見た後も、入力に使った財産の金額や、まだ確認できていない個別事情を分けて考える必要があります。結果が一つ出たことをもって、土地の現況地目、評価単位や相続税申告の要否が確定したとは扱わないでください。
申告の説明や提出する主な書類を調べる際は、別に国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」を確認できます。この資料を使う場合は、亡くなった方の相続開始の年が対象年に合うかを先に確かめます。掲載されている主な書類の案内と、対象の相続で個々の書類が必要かという判断も区別しておきましょう。
参照先(入力結果が示す判定の範囲を確認する。):国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」
参照先(相続税申告の説明と提出する主な書類の掲載箇所を確認する。):国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」
SECTION 11
熊本県内の土地の現況が分からないとき、何を伝えて相談する?
熊本県内の土地について相続税評価や申告を相談する際は、まず相続が始まった時点で各土地をどのように使っていたか、分かっている範囲を伝えてください。相続税評価上の地目は課税時期の現況で判定するため、登記上の地目と実際の利用が違うかもしれないという疑問も、確認の出発点になります。現況が分からない土地は、地目を推測して埋めず、分からないままであることを伝えられます。
確認できた利用状況と、判断が残る点を分ける
隣接する土地があれば、それぞれの使い方と、一体として利用していたと確認できる範囲を伝えます。複数の地目にまたがる土地が一体として利用されている場合には、主たる地目からなる一団として評価する取扱いがあるためです。ただし、対象の土地がその条件に当たるかは、利用状況を確かめてから判断します。課税時期の実際の面積も、確認済みの情報と未確認の点を分けておくと、何から確かめるか相談しやすくなります。
宮伸一税理士事務所は熊本県内を対象地域とし、相続税申告を取扱領域としています。土地ごとの現況、一体利用、実際の面積について分かっていることを知らせた上で、評価や申告に向けて何を確認するかを一緒に整理できます。個別の相談に対応できるかは、事務所にご確認ください。ご連絡の際は、宮伸一税理士事務所の問い合わせページからお願いします。
参照先(土地の地目を判定する時点と基準を確認する。/複数の地目を一体利用する土地の評価上の扱いを確認する。/土地評価で用いる面積の基準時点を確認する。):国税庁ホームページの「財産評価基本通達 第1節 通則(土地の評価上の区分・地目)」
SECTION 12
現況地目の確認から相続税申告の検討まで、どう進める?
相続した土地を評価する際は、まず課税時期に実際にどう使われていたかを確かめ、相続税評価上の地目を考えます。登記上の地目だけを見て結論を出さず、隣接する土地との利用のまとまりも確かめることが重要です。一体として利用されている一団が複数の地目からなる場合は、主たる地目からなるものとして一団ごとに評価する取扱いがありますが、対象の土地が該当するかは個別の状況によります。
地目の次に、評価する土地の範囲を確かめる
地目が決まっても、評価単位が登記上の一筆と常に一致するわけではありません。宅地は利用の単位となる一画地、農地は原則として耕作の単位となる一枚を基準とし、一定の農地では利用の単位となる一団を評価します。山林は原則として一筆、雑種地は同一の目的に供されている一団が評価単位です。それぞれの原則と、利用状況や地域によって確認すべき条件を分けて考えます。
土地ごとの地目と評価単位を確認した後も、その土地の評価額や相続税申告の要否まで直ちに決まるわけではありません。国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」を利用できる場合も、入力した財産の金額などに基づくおおよその判定として受け止めます。分かっている利用状況と判断が残る点を分けて伝え、土地の評価と申告について何から確認するかを相談することが大切です。
参照先(土地の地目を判定する時点と基準を確認する。/複数の地目を一体利用する土地の評価上の扱いを確認する。/宅地をどの利用範囲で評価するか確認する。/農地の種類によって評価単位がどう変わるか確認する。/山林の評価単位を確認する。/雑種地の利用目的と評価単位の関係を確認する。):国税庁ホームページの「財産評価基本通達 第1節 通則(土地の評価上の区分・地目)」
参照先(入力結果が示す判定の範囲を確認する。):国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」
FAQ
よくある質問
登記上は一筆の宅地です。相続税評価でも必ず一つの土地として扱いますか?
いいえ、登記上の一筆と、相続税評価でいう一画地は必ずしも一致しません。一筆が二つ以上の画地として利用されている場合もあるため、相続開始時にどの範囲を一区画として使っていたかを確かめてください。
隣り合う土地の地目が違っても、まとめて評価する場合はありますか?
はい、一体として利用されている一団の土地が二つ以上の地目からなる場合は、主たる地目からなるものとして一団ごとに評価する定めがあります。隣り合っているという事実だけでは判断できないため、相続開始時の使われ方と一団の範囲を確認してください。
申告要否判定コーナーで結果が出たら、申告書も完成しますか?
いいえ、このコーナーは入力した相続財産の金額などから申告のおおよその要否を判定するもので、申告書は作成しません。土地の評価や遺産分割の内容を確かめ、対象年に合う申告資料も確認したうえで、申告の準備を進めてください。
運営者
宮伸一税理士事務所